(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後に夢を追うことは、セカンドライフの大きな生きがいとなります。その実現のため、まとまった資金として「退職金」を元手にするケースも少なくありません。しかし、その挑戦が儚く散る人も。なかには将来の年金収入にまで、深刻な影響をおよぼすことがあって……。本記事では、Aさんの事例とともに、シニア起業の注意点について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

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セカンドライフの起業、夢と現実

セカンドライフに夢を持つことは、人生を豊かにするうえで素晴らしいことです。しかし、その一歩を踏み出す前におさえるべき2つの鉄則があります。

 

一つ目は、「家族と共有すること」です。どんなに素晴らしい夢であっても、それを生涯のパートナーに「内緒」で進めてしまえば、成功の土台である信頼関係そのものが崩れてしまいます。

 

二つ目は、「ストック(退職金)」と「フロー(年金収入)」を混同しないことです。Aさんのように、1,500万円という大きなストック(まとまった資産)があることに安堵し、月々のキャッシュフローの赤字を軽視すると、生活の基盤そのものが揺らぎます。リタイア後の生活の主軸は、あくまでも安定したフロー(定期収入)です。ストックは、不測の事態に備えるか、計画的に取り崩すためのものであり、初期投資額が大きく、不確実な事業の赤字を埋めるために安易に使うべきではありません。

 

セカンドライフの起業を考えるなら、まず「事業が軌道に乗るまでの赤字を、年金というフローの中で吸収できるか」を、家族と共有したうえで厳密にシミュレーションすること。それが、夢を“地獄”に変えないための絶対条件といえるでしょう。

 

 

 


三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表

 

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