「お母さん、もっと甘えてよ」…でも
「母には“もっと甘えて”って言ったんです。だって私だって、産んでもらって、育ててもらって、何十年も助けてもらったんですから。少しぐらい頼ってもらっていいって、心から思っています」
しかし、悦子さんは首を横に振りました。
「ありがとう。でもね、私はお母さんとして、最後までちゃんと自分の足で立っていたいの」
その言葉を、由美子さんは忘れられないといいます。
「年金月6万円じゃ生きていけない。でも、母は母として“譲らない美学”を持っていた。私はそれを、無理に崩したくないなって思ったんです」
老後の生活において、「経済的支援」と「尊厳ある暮らし」のバランスは非常に難しい問題です。親子であっても、互いの想いにすれ違いが生まれることもあります。
由美子さんは、「これからも“見守る支援”を続けたい」と語りました。定期的に連絡を取り、必要なときに必要な分だけ支援できるよう、母の気持ちに寄り添っていくつもりだそうです。
