「実家」は資産か、それとも“見えない負債”か
今回の出来事をきっかけに、由紀子さんは「今後どう父を支えるか」を真剣に考え始めました。
「実家は私にとって“帰る場所”でした。でも今は、むしろ父の健康や安全が心配で、安心できない場所になってしまった」
高齢の親がひとりで暮らす「実家」は、子ども世代にとって、思い出の詰まった空間である一方、今や“管理責任”や“相続後の負担”がのしかかる場所にもなり得ます。
空き家対策特別措置法により、管理が不十分な空き家には固定資産税の優遇措置が解除されるリスクもあります。将来的に空き家になることを見越して、早めに家族で話し合っておくことが重要です。
高齢者の一人暮らしでは、「気づいたときには深刻な状態になっている」ことが多くあります。介護が必要になってからでは手遅れになる場合もあるため、普段から定期的に実家を訪れ、住環境や生活状況を把握することが大切です。
また、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談することで、掃除代行や見守りサービス、福祉用具の導入といった支援策を受けることも可能です。
「まさか、うちの親が」と思っていても、いつかは直面するかもしれない“実家の現実”。今こそ、他人事ではないこの課題に目を向ける必要があります。
