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解体という決断
最終的に姪は「解体して売却する」という決断を下した。
もちろん、経済的な理由も大きいものだった。通常、相続した不動産を売却する場合、譲渡所得税がかかる。取得費のエビデンスが取れないと売却額の5%しか認められない。5,000万円で売れば1,000万円近い税負担となることもあるが、「空き家の3,000万円控除」を使えば、解体などを条件に大幅に軽減できる。
しかし、姪を動かした本当の理由は税金だけではなかった。
「おばさんの家を、私が責任を持って見送ろう」そう心を決めたとき、彼女は不思議と心が軽くなるのを感じたのだ。
解体は、思い出を壊す行為ではない。むしろ、叔母との大切な記憶を胸に抱きながら、前に進むための「区切り」なのだと。重機が柱を倒すたび、姪は涙を流しながらも、心の中で「ありがとう」とつぶやいた。
増える「おひとり様の相続」
日本では単独世帯が急増している。独身を貫く人、離別や死別でひとりになる人──理由はさまざま。おひとり様が亡くなったあとに残るのは、思い出の詰まった家と、それをどうするか葛藤する相続人だ。多くの姪や甥が同じように、思い出と現実の狭間で悩むことになる。
叔母の人生を抱えた一軒の家は、静かに解体され、跡地は新しい未来へと引き継がれていった。おひとり様だったが、決して孤独な人生ではなかった。両親と暮らした記憶、姪との談笑、招いた友人や挨拶を交わすご近所とのつながり。家そのものが、その証人だ。
家は単なる建物ではない。住んだ人の汗や涙、笑い声やため息が沁み込み、やがてその人の人生そのものになる。その家に生きたからこそみることができた景色があった。その景色はもう誰にも再現できない。
だが、その人生を抱えた家は、役目を終えてなお、次の世代へとバトンを渡している。
今回の姪にとっての決断は、家を守れなかった悔しさと、見送った安堵が入り混じるものだった。だが確かにいえるのは、家をどう扱うかを通じて、叔母とのつながりを最後まで考え抜いたということ。
家の解体や売却は避けられない現実だ。けれども、それを“終わり”ではなく“区切り”として捉え、亡き人と最後まで向き合うこと。その葛藤のプロセスこそが、相続において最も尊いものなのかもしれない。
〈参考〉
国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
柏原 健太郎
株式会社TBH不動産 代表取締役
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