「それぞれ別に暮らした方が、うまくいくのかも…」
同居から2年。幸子さんは現在77歳になり、病院の通院は週に2回。娘は中学生となり、部活や塾で帰りが遅くなる日が増えました。
「家族だけど、母は母、私は私、娘は娘。それぞれが生活しているつもりでも、どうしても不満がたまってしまうんです。私も余裕がなくて、つい言いすぎてしまうこともあるし…」
明美さんは、母の近所での一人暮らしを再検討しています。介護保険を活用して、週に数回の訪問介護や買い物代行を利用しながら、必要に応じて助け合える距離感にする方が、家族関係がうまくいくかもしれない――そう考えるようになったといいます。
「三世代同居」は、かつて理想の家族像とされてきました。しかし、経済的な負担や生活スタイルの違いが大きい今の時代においては、必ずしも“同じ屋根の下”が最適解とは限りません。
重要なのは、「親の年金=家計の助け」という幻想に頼らず、現実的な支援体制や公的制度を活用しながら、無理のない距離感で支え合うことかもしれません。
