百貨店売上、前年の“三重苦”の反動で7ヵ月ぶりプラスに
9月に入って、景気回復基調継続を示唆する経済指標が発表されました。
日経新聞電子版が9月1日夜に配信した「百貨店4社、8月は3社増収 24年の地震警報の反動で免税回復」という記事によると、百貨店大手4社の8月の既存店売上高(速報値)は、3社が前年同月比で増収。免税売上高は最大で1割弱の減収にとどまり、3〜4割減だった7月以前の水準からは大きく改善しました。
24年8月はそれまでの歴史的な円安から一転して円高が進行したほか、上旬には南海トラフ巨大地震のリスクが高まった際に出る臨時情報が初めて発表され、外国人が訪日を控える動きがみられました。大型台風も集客の打撃に。この反動が出ました。
8月の4社の既存店売上高の単純集計の前年同月比は+4.8%、7月の▲4.6%の減少から一転、7ヵ月ぶりの増加です。
GDP上方修正の立役者は「Nintendo Switch2」?好調な個人消費が経済を押し上げ
4~6月期・実質GDP第2次速報値は前期比年率+2.2%の増加と、第1次速報値から+1.2ポイント上方修正されました。市場予想は前期比年率1%前後が多く、実績はそれを上回っています。
法人企業統計を反映し、設備投資は下方修正されたものの、個人消費が前期比+0.4%の増加と第1次速報値から0.2ポイントも上方修正されるサプライズがありました。半耐久財が前期比+2.4%と2.0ポイント上方修正されました。6月5日に発売されたゲーム機「Nintendo Switch2」の影響などが出たものと思われます。
米国の関税政策などの影響で成長ペースの鈍化が見込まれるものの、残りの3四半期がすべて前期比▲0.1%でも、25年度実質GDP成長率は+0.8%になります。これは、内閣府年央試算や日銀の7月展望レポートの見通しレンジを上回る伸び率です。
7月実質賃金はボーナス効果でプラス浮上、持続性が今後の焦点に
7月速報値の実質賃金は前年同月比で+0.5%増と、今年初めてプラスとなりました。ボーナス増加がプラスに寄与しています。決まって支給する給与は、まだ実質プラスではありません。8月にはデフレーターの消費者物価指数・前年比は7月より0.4ポイント程度低下見込みで、実質賃金プラス方向に寄与します。早く実質賃金プラスが継続する局面になることが期待されます。
日銀短観の“先行指標”が改善、9月QUICK・ロイター短観で製造業DI上向く
9月9日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月26日~9月4日です。9月の製造業の業況判断DIは8月の+15から9ポイント上昇、3ヵ月前の6月の+8から16ポイント上昇の+24になりました。
9月10日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月27日~9月5日です。9月の400社ベースの製造業の業況判断DIは、+13と8月の+9から4ポイント上昇し、6月調査の+6からは7ポイント改善しました。輸送用機器の業況判断DIは6月調査の+20から13ポイント上昇し+33になりました。懸念される米国関税については、その影響については依然不透明なものの、一定の方向性が確認できたことで、製造業にとってのプラス材料になったように感じます。
景況感は4ヵ月連続改善、百貨店や旅行関連が牽引
8月景気ウォッチャー調査で、現状判断DIは46.7と7月から1.5ポイント上昇しました。現状判断DI、先行き判断DIとも4ヵ月連続上昇です。8月調査結果に対する内閣府の現状に関する判断は「景気は、持ち直しの動きがみられる」と2ヵ月連続同じになりました。分野・業種別の現状判断DIでは百貨店、旅行・交通関連が50超と景気判断の分岐点を上回りました。
興収歴代3位の「鬼滅」効果、関連消費を押し上げDIは75.0の高水準
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(東宝/アニプレックス)が9月7日までで8週連続1位を獲得しました。累計成績は動員2,200万人、興行収入314.3億円は歴代3位になっています。興行収入劇場版「『鬼滅の刃』無限列車編」が公開59日間で突破した興行収入300億円の記録も塗り替え、最速となる公開46日間で達成しました。
なお、8月景気ウォッチャー調査では、「映画」関連現状判断DIが75.0。「今月は、当館では映画館での複数の話題作が好調を維持しており、全体的に好影響を与え、特需となっている。特に作品の関連グッズを取り扱う雑貨店舗や飲食店には明確に波及効果が出ているが、その一方で、店舗数の純減もあるため一概にはいえないものの、アパレル業種が前年を下回る推移である」と九州のショッピングセンター・支配人のコメントがありました。
“景気のバロメーター”も好調…「JRA売上」はGDPと高い相関
JRA売得金・年初からの累計前年比、9月7日までで+3.5%になりました。14年連続前年比は増加になりそうな状況です。景気が良く、懐具合が良いときは競馬の売得金も伸びるようです。平成・令和の35年間(平成元年・1989 年~令和6年・2024年)での名目GDP 前年比と売得金前年比の相関係数は 0.71です。
祝・阪神リーグ優勝!過去データが示す「人気球団の優勝は株価にプラス」の法則
阪神タイガースが9月7日に2年ぶり7度目のセ・リーグ優勝を決めました。90年の巨人の9月8日を抜いて両リーグ史上最速です。藤川球児監督は就任1年目での偉業達成となりました。優勝決定日に貯金33、2位巨人に17ゲーム差の独走優勝です。
高度経済成長終了後の、1973年以降2024年までの52年間で、その年のセ・リーグの優勝チームが決まった直後の、日銀短観・大企業・全産業・業況判断DI・12月調査の前年差変化幅の平均は0・0ポイントです。大企業・全産業・業況判断DIを使うのは73年にはまだ中小企業・業況判断DIがなかったからです。
人気球団の巨人の優勝年では、前年差変化幅の平均は5.5ポイントの改善。人気2位の阪神の優勝年の平均は3.3ポイントの改善。残る4球団の優勝年の平均は▲4.7ポイントの悪化です。
人気チームが優勝した年は平均的にみて日銀短観・大企業・全産業・業況判断DI・12月調査の前年差変化幅が良くなるので、今年は、昨年12月の23を上回るかどうかが注目されます。阪神がセ・リーグ優勝した過去6回の優勝年の、日経平均株価・前年比は平均+17.5%上昇しました。今年は9月12日終値現在前年末から+12.2%上昇しています。
懸賞本数は過去最高の3,108本、企業の広告費や収益の好調さを裏付け
今年の名古屋場所の懸賞本数は2,196本で春場所の懸賞本数は2,152本を上回り、地方場所では過去最高になりました。その前の場所の、夏場所における懸賞本数が両国国技館開催の場所で、3連続過去最高を更新しています。
秋場所の懸賞事前申し込み本数は3,108本。今年の初場所2,955本(夏場所は2,916本)を上回り過去最高を更新し、企業の広告費、収益の好調さを裏付けました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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