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求められる脱炭素対策と建設費高騰
世界的に取り組みが求められているカーボンニュートラル実現に向けた建築物の省エネ規制の強化も、建設費に大きな影響を与えています。 2024年4月からは2000㎡以上の大規模な建物には、より厳しい省エネ性能が求められるようになっており、今後も2050年の最終目標年に向けて段階的に強化されていく予定です。 断熱性能の向上や高効率の省エネ設備の導入などのため、建築コストは上がらざるを得ません。
さらに近年は、病院建築に限らず、建設工事価格が急激に値上がりしています。 これまでも円安による資材価格の高騰などはありましたが、一時的なものであり、やがて元の水準に落ち着いていました。 しかしコロナ禍の少し前から始まった現在の建設工事価格の上昇は、ここ数年のうちに20%あるいはそれ以上と大幅なものです。
実際、価格高騰の要因を探っていくと、一時的なものというよりは構造的なものが多く、建設工事価格はさらに上がる、あるいは高止まりすると考えたほうがよいでしょう。
建設工事価格高騰の理由の一つは労務コストです。 人手不足を背景に各職種の労働単価は大きく値上がりしています。 建設現場でも週休2日制導入をはじめとする働き方改革はさらに進むとみられ、人手不足の解消は見込めません。
建築資材も値上がりしています。 鉄やセメント、ガラスやステンレスといった資材の需給が逼迫し値上がりにつながっています。 コロナ禍を機に住宅需要が高まったことから木材価格も高騰しました。 これらの資材価格も世界的に旺盛な需要を背景に下がる見込みはありません。
すべてのステークホルダーに配慮した設計が求められている
前述したように病院経営を取り巻く環境は非常に厳しく、時代の流れを見れば今後もこの状況は続きます。 しかし、地域の医療ニーズに応え、先を見据えて安定した医療機能を提供し続けることは、病院の社会的な使命と考えます。
どこで誰に対してどのような医療を提供するのか、そのためにどういう病院であろうとするのか、戦略的な検討が必要になっています。 そして、その目的を実現するためには、今まで以上に設計の工夫が求められます。 経営や建築を巡る条件が厳しければ厳しいほど、設計が果たす役割は大きなものになります。
病院には多くのステークホルダーが存在します。 患者さんはもとより、医師、看護師、技師、事務職員の全員にとって魅力のあるものにしなければ安定した経営は実現しません。 患者さんが心地よく過ごせるか、医師や看護師、技師が働きやすいか、省エネや環境配慮が行き届き、ランニングコストが抑えられているか、IT化やDXへの対応は万全か、災害時にも機能を維持し地域の医療拠点としての役割を果たせるか、さらには増築や設備の入れ替えへの配慮、30年後あるいは50年後の次の建替えにも配慮した計画になっているか・・・・・・さまざまなことが、検討されなければなりません。 このすべてが設計に関わります。
もちろん、さまざまな条件から、新築ではなく改修を選択する場合もあります。 改修であればなおさら、既存のどこを活かし、どこを新しくして、今求められる病院に変えていくのか、新築以上の設計の工夫が求められます。
設計は建物の意匠を美しく整えるためだけのものではなく、また、求められる機能を確保するためだけのものでもありません。 設計の工夫一つで完成する病院の性能や価値、経営効率、社会的寿命は大きく変わります。 激変する医療環境と経営環境のもと、病院建築に今ほど設計力が問われている時代はありません。
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