増える「世帯内孤立」…家族がいても孤独
近年では、「家庭内ひきこもり」「世帯内孤立」といった現象も増加傾向にあります。とくに高齢者においては、自尊心の高さやプライドが障害となり、家族に頼ることができずに追い詰められるケースも少なくありません。
内閣府の調査でも、高齢者の孤独感や社会的つながりの希薄さが問題視されています。高村さんのように、家族がいるにもかかわらず、孤独感や疎外感を強く抱く高齢者は少なくないのが現状です。
一人暮らしの高齢者や、家族との関係が悪化している場合、自治体の「地域包括支援センター」や「高齢者見守り支援制度」などの窓口に相談することが可能です。
また、警察庁によると、認知症による行方不明者の届け出は年間で約1.8万人(2022年)に上り、交番に保護される高齢者も増加しています。
ただし今回の高村さんのように、「認知症ではないが社会的孤立にある高齢者」は制度の隙間に落ちやすく、本人も家族も支援を求めるきっかけを持ちにくいという課題があります。
高村さんは現在も娘夫婦と同居を続けていますが、関係は冷え込んだままだといいます。
「せめて、自分で住む場所を探して、娘には迷惑をかけたくない。でも、年金だけで暮らせるアパートなんて、そう簡単には見つからないですよね」
高齢者の貧困や孤立は、決して特別な話ではありません。家も家族もあるのに、心は寄る辺なく、行き場を失う人たちが確かに存在しています。
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