前回は、ウレタン樹脂による床の修正工法では、必要な設備がたったトラック1台分である、という特長をお伝えました。今回は、この工事での近隣住民への影響等について見ていきます。
敷地に空きスペースが少なくても施工が可能
Q敷地にめいっぱい建物が建っていて回り込めませんが、大丈夫ですか?
問題ありません。
ウレタン樹脂の薬液は、トラック内のドラム缶から長いホースを経て、建物内にいる技術作業員が操作する注入ガンに届きます。技術作業員が注入孔に真っ直ぐノズルを差し込み、トリガーを操作すると、トラック車内のポンプがドラム缶から樹脂材料の薬液を吸い上げ、それがホースを通して技術作業員が持つ注入ガンに送られ、混合されて床下に注入されていくという仕組みです。
そのホースの長さは80メートルありますから、大型の建物でも後ろに回り込むことなく施工することができます。
騒音、粉塵、振動などの近隣への影響は出にくい
Q民家に囲まれている倉庫なのですが、近隣に迷惑はかかりませんか?
問題ありません。
先に、車が通れる道幅があれば問題ないと申し上げました。実は、大きな建物だけでなく、個人の住宅の沈下修正も行っているのですが、そんな時、この小型トラックという装備は大活躍します。住宅の施工はごく短時間で終わりますから、その間、宅地付近に停めて作業することができます。
沈下修正工事でご近所様にご迷惑をかけるのは、騒音、粉塵、振動が大きな要因になりますが、生じる音といえば、床に孔を開ける時の建物内のドリル音ぐらいなものですから、「騒音」というほどではありません。
出るのは削孔の際のコンクリートの粉塵ぐらいのもの。しかも建物内ですから、まったく問題になりません。もちろん振動でご迷惑をおかけするようなこともありません。
アップコン株式会社
代表取締役
1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)
「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載沈下問題を抱える工場・倉庫の「トクする修正工法」