前回は、施工だけでなく、メンテナンスや解体での費用までも含めた「ライフサイクルコスト」という考え方から、ウレタン樹脂を使った沈下修正工法のメリットをお伝えしました。最終回の今回は、この工法では二酸化炭素の排出量が少なくて済むというメリットもあることをご紹介します。

他の工法と比べ、CO2排出量を最大9割削減

Qライフサイクルコストが低いということは、CO2も削減できるのですか?

 

そのとおりです。ライフサイクルで見ると、他の工法で修正するより、CO2を大きく削減できることになります。

 

ご存知のとおり、CO2は石油、石炭、天然ガスといった化石燃料を使うことによって排出されます。実際問題として、材料の製造、購買、運搬、工事など、それぞれのモノ・サービスで燃料コストが占める割合は大きいですから、ライフサイクルコストが小さいということは、つまり化石燃料の使用量が少なく、CO2の排出量も少ないということがいえると思います。もちろん、モノ・サービスの価格はエネルギーコストだけで決まるわけではありませんから、完全一致というわけにはいきません。

 

そして、環境工学の分野でも、製品やサービスの環境負荷を製造、輸送、販売使用、廃棄、再利用というライフサイクル全体でとらえようという動きがあります。

 

ライフサイクルアセスメント(LCA)と呼ばれる考え方ですが、その考え方に従ってアップコン工法がどのくらい環境に負荷をかけているのかの算出を第三者機関に依頼したことがあります。

 

ウレタン樹脂原料の材料調達まで遡って「CO2排出量」が計算されました。すると、コンクリート打替え工法と比べてCO2排出量は1割以下。コンクリートを新たに打ち替えるのでなく、ウレタン樹脂を注入する工法を選ぶだけで、CO2は90%以上も削減できることがわかりました。

 

これは、1000平方メートルの床の沈下修正なら、スギの木約3300本ものCO2吸収量に相当します。

 

■CO2排出量の比較

CO2排出量の比較
施工条件:面積1,000㎡、土間コンクリートの厚さ150mm、最大沈下量−70mm
出典:株式会社リサイクルワン(環境分野に特化したコンサルティング会社)による算出

将来的には企業に対してCO2の排出量規制も

Q CO2削減効果が高い修正工法を選ぶと、わが社にもメリットがあるのですか?

 

大いにあります。

 

たしかに、現時点でのメリットは、「環境にやさしい工法を採用」とアピールするPR効果ぐらいかもしれません。

 

しかし、近い将来、CO2の排出量が企業ごとに規制され、規制量を守れない企業は守れた企業、つまりCO2を余らせた企業からその分を買い取るという「国内排出量取引」の制度が本格的に導入される可能性があります。

 

この制度がいつ、どのような形で実施されるかわかりませんが、実施されるとなると、建物の修繕でこれだけCO2を削減できるのは、大きなアドバンテージになると思います。

 

完全ノンフロンの材料についてご説明する際にも申し上げましたが、環境保護は先進国をあげての取り組みです。環境保護に貢献した企業は実利的に報いられ、そうでない企業は代償を支払わされるという潮流は、今後、ますます大きくなると確信します。

本連載は、2016年11月25日刊行の書籍『改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9割』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

松藤 展和

幻冬舎メディアコンサルティング

4年前出版し関係者の間で話題沸騰したあの書籍が、「傾いた床」による様々なリスクを追加収録し、 【改訂版】としてパワーアップして帰ってきた! たった0.6度の床の傾きで、業務も傾く! 日本の建物の9割が地盤に起因…

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