前回は、基礎が完全に浮き上がってしまった建物を、ウレタン樹脂を使った工法で修正した事例をご紹介しました。今回は、施工だけでなく、メンテナンスや解体での費用までも含めた「ライフサイクルコスト」という考え方から、この工法のメリットを検討します。

企画から解体までを含めた「ライフサイクルコスト」

修正工事を経た建物の、解体時のことについてご説明しておきます。

 

ウレタン樹脂は、床という「面」を支える力は強くても、実は、「点」の力に対しては弱いという性質があります。ハンマーなどで叩けば、簡単に砕けるのです。

 

このため、いざ建物を取り壊す時期が来た時には、小さく砕いたり切ったりして容易に撤去・廃棄することができます。

 

昨今、建物の価値を考える際、ライフサイクルコスト(LCC)といって、企画・設計・建築時から将来の解体時にかかるトータルの費用でとらえるという考え方が広がってきました。企画・設計費、建築費を投じて建物ができあがったあとには、延々と光熱費、修繕費、保全費がかかりますし、寿命を迎えて解体する時には解体費がかかります。大抵の建物では、最初の企画・設計費、建築費はライフサイクルコスト全体で見れば小さな割合しか占めませんから、残りのコストを合理的に抑えようという考え方です。

ウレタン樹脂での工法は、トータルで見れば低コスト

床の沈下修正費用は修繕費に分類されるのでしょうが、その中でもライフサイクルコストの考え方を適用することができます。修正工事にかかる費用が少なくても、そのあと、繰り返し工事が必要になればライフサイクルコストは膨らみます。その上、解体にも大きなコストがかかるのであれば、なおさらです。

 

ウレタン樹脂を使用した沈下修正工法は、初期の施工費は最小ではないものの、地盤が再度の沈下をしない限り再施工は不要ですし、解体コストも小さいため、ライフサイクルコストで見れば、最小の工法として位置づけることができます。

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    本連載は、2016年11月25日刊行の書籍『改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9割』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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