松井証券の「IPO（新規公開株）」は事前入金不要！買い方や申込ルールは？

「IPO（新規公開株）」は、公開価格よりも上場初日の株価のほうが高くなるケースが多く、低リスクで利益を狙えることで投資家から人気を集めています。

 

上場前にIPOを抽選で獲得するのは競争率が高くて難しいですが、松井証券では配分予定数量の70%以上が完全平等抽選配分となっているため、誰にでも当選のチャンスがあります。

 

本記事では、

 

「松井証券のIPOの抽選ルールは？」

「松井証券のIPOはどうやって申し込むの？」

「『松井証券のIPOは当たらない』と言われる理由は？」

 

といった疑問を持っている人に向けて、IPOの基本から松井証券での申し込み方法まで、わかりやすく解説します。

 

最後まで読めば、納得した状態で松井証券のIPO抽選に参加できるようになります。

 

 

 

最初にIPO（新規公開株）の基本を解説しますが、すでに知識がある方は読み飛ばして「1. 松井証券でIPOを申し込むメリット3つ」に進んでください。

はじめに：IPO（新規公開株）とは？

 

まずは、IPOの基本を解説します。

 

・「IPO」とは？

IPOは「Initial Public Offering」の略で、日本語では「新規公開株」といいます。

 

未上場の株式会社が証券取引所に上場すると、投資家はその株式を初めて取引所で売買できるようになります。

 

上場前の募集段階でIPOを購入するには、期間中に証券会社の抽選に申し込み、当選しなければなりません。

 

ただし、IPOは様々な要因が関係し、上場前の「公開価格」よりも上場初日につく株価（＝「初値」）のほうが高くなる傾向がある低リスクの商品のため、抽選に参加する人が多く、当選は狭き門となっています。

 

 

・IPOの申し込みから上場日までの流れ（松井証券のケース）

 

IPOを購入するまでの流れは次のとおりです。以下は松井証券のケースですが、入金のタイミングが多少異なる程度で、基本的な流れは他社でも同様です。

 

 

ポイントは、需要申告（ブックビルディング）期間中の「需要申告」と、当選した場合の「購入申込」の2回、手続きが必要になることです。

 

IPOの当選はあくまでも“購入できる権利”を得ただけで、購入手続きをしなければ株式は配分されません。

 

そのため、IPO抽選にあたっては、スケジュールをしっかり管理し、証券会社ごとに異なる配分ルールを把握しておくことが大切です。

 

1. 松井証券でIPOを申し込むメリット3つ

 

IPOを誰に配分するかは証券会社が独自に決められるため、配分ルールは各社で異なります。ここでは、松井証券のIPO配分ルールを含め、松井証券でIPOを申し込む主なメリットを3つ解説します。

 

 

それぞれ解説します。

メリット①：IPO抽選時の事前入金が不要

多くの証券会社では、IPO抽選に参加する際に、申込株数分の資金を事前に口座へ入金しておく必要があります。

 

一方、松井証券は抽選時の事前入金が不要のため、気軽にIPOの需要申告（ブックビルディング）が可能です。つまり、口座を開設したばかりで残高が0円でもIPO抽選に参加できます。

 

当選した場合のみ、購入申込期間最終日までに購入代金を入金すればよいため、まとまった資金がなくても、松井証券ならIPO抽選に挑戦できます。

 

さらに、未成年口座でもIPO抽選に参加できるので、応募数を増やして当選確率を少しでも高めることも可能です。

 

メリット②：IPOの配分予定数量の70%以上が完全平等抽選

松井証券のIPOは、割り当てられた配分予定数量の70%以上を、自然乱数による完全平等抽選で当選者が決まる仕組みです。そのため、応募株数や資金量にかかわらず、誰にでも平等に当選のチャンスがあります。

 

また、松井証券の『募集等にかかる株券等のお客様への配分にかかる基本方針』によると、配分予定数量の残りの30%は、取引状況などを勘案して公正な配分を行っています。以下は抜粋です。

 

 

証券会社によって配分ルールは異なり、「証券会社の裁量90%＋抽選10%」や「完全平等抽選100%」など様々です。

 

そのなかで、松井証券は「完全平等抽選70%＋証券会社の裁量30%」を採用しており、初心者にも普段から松井証券を利用している方にも幅広く当選のチャンスがある配分比率となっています。

 

メリット③：IPOの取り扱い銘柄数が豊富

松井証券は、近年IPOの取り扱い銘柄数を大幅に増やしており、直近3年間（2022年～2024年）に限れば、年間IPO件数の約60～70%の抽選に参加できます。

 

■松井証券のIPOの取り扱い実績

 

SBI証券では、ネット証券では年間最多となる約90%のIPO抽選に参加できるため、それと比べると松井証券はやや物足りなさを感じるかもしれません。

 

ただし、IPOに当選するには、複数の証券口座から申し込みを行い、少しでも当選確率を上げるのが基本です。

 

気になるIPO案件が発表された際には、松井証券での取り扱いがあるかを確認し、抽選への参加を検討しましょう。

 

 

 

2. 松井証券でIPOを申し込むときの注意点

 

松井証券のIPO抽選には、当選後に購入を辞退すると、その後の6ヵ月間はIPOの抽選に参加できなくなるペナルティがあります。

 

抽選結果を確認し忘れて購入申込をしなかった場合や、配分時点で購入代金が不足していた場合も辞退とみなされ、故意ではなくてもペナルティの対象となるため、注意が必要です。

 

このルールには、むやみに抽選に参加する人を制限し、本当に購入を希望する投資家に公平にIPO銘柄を配分する狙いがあるとされています。

 

そのため、事業内容や成長性を確認するなど最低限の銘柄分析を行い、当選したら本当に購入する意思のあるIPO銘柄のみ申し込むようにしましょう。

 

なお、補欠当選（当選した人が購入を辞退したときに、配分を受けられる可能性のある状態）の場合は、購入を辞退してもペナルティはありません。

 

 

■補足

ペナルティ期間中であっても、IPOの需要申告に参加すること自体は可能です。基本的には当選することはできませんが、需要申告の状況によっては当選する場合もあります。

ただし、購入希望者が少ないということは、それなりの理由がある可能性もあるため、注意が必要です。

 

3. 松井証券のIPO抽選の申し込み方法【需要申告】

 

松井証券のIPOサービスについて解説したところで、IPOの抽選にPCのお客様サイトから申し込む方法を紹介します。

 

なお、松井証券のIPO抽選は、スマホのお客様サイトや、「松井証券 日本株アプリ」からも需要申告ができ、流れはPCと同じです。

 

松井証券でIPO抽選の需要申告を行う手順は、次のとおりです。

 

 

順番に解説します。

STEP1：日本株メニューから「需要申告」をクリック

IPOの需要申告は、松井証券のサイトにログイン後、お客様サイトの画面上部「日本株」＞IPO・POの「需要申告」より行います。

 

 

STEP2：需要申告する銘柄の「申告」ボタンをクリック

需要申告の銘柄一覧が表示されたら、IPO抽選に参加する銘柄の目論見書を確認後、「申告」ボタンをクリックします。この「申告」ボタンは、現在需要申告を受け付けている銘柄のみ表示されます。

 

 

ここでは、受付中だったオリオンビール（409A）の「申告」をクリックします。なお、需要申告期間は、最終日の午前10時30分までです。

 

STEP3：「需要申告」の画面を入力する

需要申告の画面が表示されたら、希望する値段と株数を入力します。

 

 

仮条件は「800～850円」とありますが、公開価格は仮条件の上限（850円）で決まる場合がほとんどです。しかし、需要申告の状況によっては、仮条件の下限（800円）で決まることも稀にあります。

 

通常、IPOの需要申告で入力する値段は「仮条件の上限」を入力しておけば問題ありませんが、仮条件の範囲を超えて公開価格と株式数が決定されるケースもあります。

 

そのため、公開価格が仮条件を超えても購入したい場合は、値段を「成行」にしておくことをおすすめします（公開価格は最大でも仮条件の上限×120%）。

 

公開価格が仮条件の上限（850円）で決まった場合、公開価格より低い値段（たとえば825円）を入力していた人は、その時点で「落選」になるため、注意しましょう。

 

また、入力する株数は申告上限の範囲内で入力してください（ここでは「100株」）。

 

すべて入力したら、「申告確認」をクリックします。

 

そして、需要申告確認の画面で入力内容を確認のうえ、取引暗証番号を入力し、最後に「申告する」をクリックしてください。

 

需要申告完了の画面が表示されたら、IPO抽選の申し込みは完了です。

 

■補足

相場状況の悪化などを理由に、需要申告期間中に上場申請を取り消す企業が年に数社あります。また、仮条件が変更されるケースもまれにあります。

そのため、需要申告をしたあとも何度かログインし、状況を確認することをおすすめします。

 

STEP4： 抽選結果を確認する

IPOの抽選結果は、原則、需要申告期間中の最終日の翌営業日の17時以降に「需要申告」画面より確認できます。

 

当選の場合は、必ず「購入申込」を行い、株数分の購入代金を入金しましょう。その際、辞退すると、ペナルティの対象となります。

 

補欠当選の場合は、「購入申込」をして購入代金を入金しないと当選の権利は得られませんが、辞退してもペナルティの対象とはなりません。

 

STEP5：当選の場合は「購入申込」をして購入代金を入金する

当選した場合の「購入申込」は、松井証券のサイトにログイン後、お客様サイトの画面上部「日本株」＞IPO・POの「購入申込」より行います。

 

 

購入申込の銘柄一覧が表示されたら、手続きを行う銘柄の目論見書を確認し、「購入」ボタンをクリックします。

 

購入手続きの受付画面が表示されたら、口座区分を選択してください（松井証券のNISA口座を開設している場合は「NISA」も選択可）。

 

そして、割り当てられた購入可能数の範囲内の購入株数を入力します。仮に200株当選し、購入株数を100株に減らして購入申込をしても、ペナルティにはなりません（松井証券に確認済）。

 

入力したら「購入確認」に進み、確認画面で取引暗証番号を入力して、最後に「購入する」をクリックしましょう。

 

そして、購入申込期間最終日の15時45分までに買付余力が反映されるように、申込株数分の購入代金を入金してください。

 

配分は購入申込期間最終日の17時以降に行われるので、その結果を確認し、あとは上場初日を待ちましょう。

 

なお、配分されたIPO銘柄は、上場日の前営業日の17時以降に「保有株式一覧」に反映されます。

 

 

 

4. 松井証券のIPO銘柄一覧【2025年】

 

本章では、2025年11月14日時点で松井証券が取り扱っている、または取り扱ったIPO銘柄を紹介します。IPO抽選の申込管理や振り返りにお役立てください。

 

松井証券のIPO銘柄一覧（2025年）

 

上場日	銘柄 コード	銘柄	需要申告 ※各日とも午前10時30分まで
12/17	8303	SBI新生銀行	12/2～12/5
12/15	5537	AlbaLink	11/28～12/3
12/12	469A	フィットクルー	11/27～11/25
12/5	462A	FUNDINNO	11/19～11/25
11/17	275A	ハンワホームズ	10/30～11/6
11/5	442A	クラシコ	10/20～10/24
10/23	436A	サイバーソリューションズ	10/7～10/14
10/17	431A	ユーソナー	10/1～10/6
10/16	429A	テクセンドフォトマスク	10/1～10/6
10/15	423A	ライオン事務器	9/29～10/3
10/7	418A	ウリドキ	9/18～9/25
10/6	421A	ムービン・ストラテジック・キャリア	9/19～9/25
10/3	414A	オーバーラップホールディングス	9/17～9/24
9/26	407A	UNICONホールディングス	9/9～9/16
9/25	410A	GMOコマース	9/8～9/12
9/25	409A	オリオンビール	9/9～9/12
8/13	402A	アクセルスペースホールディングス	7/29～8/1
7/29	391A	山忠	7/11～7/17
7/24	387A	フラー	7/7～7/11
7/18	386A	みのや	7/2～7/8
7/4	378A	ヒット	6/19～6/25
6/30	372A	レント	6/12～6/18
6/26	369A	エータイ	6/11～6/17
6/24	367A	プリモグローバルホールディングス	6/9～6/13
6/23	366A	ウェルネス・コミュニケーションズ	6/5～6/11
6/20	365A	伊澤タオル	6/4～6/10
4/25	353A	エレベーターコミュニケーションズ	4/10～4/16
4/24	352A	LIFE CREATE	4/9～4/15
4/22	350A	デジタルグリッド	4/7～4/11
4/7	343A	IACEラベル	3/19～3/26
3/31	340A	ジグザグ	3/13～3/19
3/28	341A	トヨコー	3/12～3/18
3/28	339A	プログレス・テクノロジーズ　グループ	3/12～3/17
3/27	336A	ダイナミックマッププラットフォーム	3/11～3/17
3/27	338A	ZenmuTech	3/10～3/14
3/25	334A	ビジュアル・プロセッシング・ジャパン	3/6～3/12
3/24	335A	ミライロ	3/6～3/12
3/21	9388	パパネッツ	3/5～3/11
3/21	332A	ミーク	3/5～3/11
3/19	331A	メディックス	3/3～3/7
3/18	330A	TalentX	2/28～3/6
2/28	325A	TENTIAL	2/10～2/17
2/20	323A	フライヤー	2/3～2/7
2/5	319A	技術承継機構	1/22～1/27
2/3	7790	バルコス	1/17～1/23

 

 

IPO案件は12月に向けて増える傾向があるため、IPO抽選ではスケジュールをしっかり管理することが欠かせません。

 

 

 

5. よくある質問

 

最後に、松井証券のIPOに関するよくある質問に7つ回答します。本文と重複する箇所もありますが、復習のためにもお役立てください。

Q1. 松井証券のIPO抽選は「アプリ」からも申し込みできますか？

松井証券のIPO抽選は、「日本株アプリ」からも需要申告が可能です。

 

ログイン後、画面下部の「取引」＞「IPO・PO」の順に進み、「需要申告 受付中」より銘柄を確認できます。

 

 

Q2. IPO銘柄は「NISA口座」で購入することもできますか？

松井証券でNISA口座を開設している場合は、IPO抽選に当選後、購入申込の画面の「口座区分」で「NISA」を選択すると、成長投資枠で購入できます。

 

公開価格より高い値段で売却できれば、売却益に約20%の税金はかからず、利益をそのまま受け取れます。

 

 

Q3. IPOの抽選には「手数料」はかかりますか？

IPOの抽選時と購入時の手数料は無料です。

 

売却時は手数料がかかりますが、松井証券では1日の約定代金の合計が50万円までなら無料です。なお、NISA口座の場合は、売却手数料も無料です。

 

 

Q4. 松井証券のIPOの「当選確率」を教えてください。

松井証券に限らず、IPOの当選確率は公表されていません。

 

SNSなどの声を見ると、IPOの当選確率は1%程度と言われていますが、銘柄ごとに条件が異なるので詳細は不明です。

 

Q5.「松井証券のIPOは当たらない」と言われるのはなぜですか？

松井証券に限らず、IPOの当選確率は極めて低いです。

 

ただし、松井証券のIPOは抽選時は事前入金が不要で、誰でも気軽に申し込めるゆえに他社より競争率が高くなり、「松井証券のIPOは当たらない」といった声が一部であがっている可能性はあります。

 

Q6. 松井証券のIPO抽選は「1,000株」申し込めますか？

「申告上限」が1,000株に設定されている場合は、1,000株まで申し込むことも可能です。

 

ただし、1,000株申し込んでも、当選時に必ずしも全株が割り当てられるわけではなく、100株や200株といった一部のみ当選となるケースがほとんどです。

 

Q7. IPOの初値がいくらになりそうか、予想することはできますか？

IPOは様々な要因が影響するため、自分で初値を分析して予想するのは容易ではありません。

 

『初心者の資産運用計画 黒澤ファンド』などのサイトを参考にして、需要申告をするかどうか判断することをおすすめします。

 

6. まとめ

 

この記事では、松井証券のIPOについて解説しました。

 

松井証券のIPO抽選は事前入金不要で、配分予定数量の70%以上が完全平等抽選なので、誰にでも当選のチャンスがあります。しかし、松井証券に限らず、IPOの抽選は外れて当然なので、2～3回落選しただけで諦めるのは早計です。

 

筆者はこれまで数百回にわたりIPOの抽選に参加しましたが、当選したのはわずか6銘柄だけです。

 

IPOに当選するには、複数の証券口座を開設して割当数の多い証券会社を中心に需要申告を行ったり、普段から取引実績を積んだりするなど、当選確率を少しでも高める工夫を地道に続けることが重要です。

 

松井証券もIPOの取り扱い銘柄数が多い証券会社なので、選択肢の一つに加えて、取引チャンスを広げましょう。