(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の人生設計は、長年働いてきた人にとってのご褒美のようなものです。退職金や年金、貯蓄を元手に、夫婦でゆったりとした日々を過ごす…。そんな穏やかなセカンドライフを思い描いていたはずが、ある一通の書類によって、人生の土台が音を立てて崩れ去ることもあります。信頼していた家族が、実は長い間別の考えを抱いていたと知ったとき、人はどうすればよいのでしょうか。

夫婦で協力して老後に備えてきたつもりが…

誠一さんはその後、友人の紹介で弁護士に相談し、協議離婚の交渉に入ったといいます。自分の名前が書かれた合意書を「机の上にうっかり置いていた」ことが、むしろ話し合いのきっかけになったとも言えるでしょう。

 

老後破産や熟年離婚が社会問題となるなか、退職金や貯蓄といった“最後の資産”をめぐる争いは、今後も増加するとみられています。

 

「夫婦で協力して老後に備えてきたつもりが、片方だけが準備を進めていた」というケースは、精神的なダメージが大きいものです。

 

「それでも、俺は幸せだったと思いたい。結婚して、子どもがいて、家を買って、働いて……でも今は、なんとも言えない虚しさだけが残っています」

 

と語った誠一さん。

 

半分になった老後資金を前に、彼はこれからの生活を一人で見直そうとしています。

 

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