関東圏の主要150コースの平均価格、15年ぶりに高値を更新
ゴルフ会員権の相場が上昇を続けている。関東ゴルフ会員権取引業協同組合がまとめた関東圏の主要150コースの平均価格は2025年7月時点で292万8,000円となり、前月比0.8%の上昇で15年ぶりの高値を更新した。
コロナ禍以降の健康志向や個人需要の拡大に加え、企業の接待需要が戻りつつあることが背景にある。
平日限定会員権も割安感から人気、一部は昨年末比2倍以上に高騰
都県別では、前出の関東ゴルフ会員権取引業協同組合によると東京都が平均817万円、神奈川県546万円と突出して高額である。千葉県301万円、茨城県265万円、埼玉県169万円と続き、地方でも栃木県71万円、群馬県37万円と比較的手頃な価格ながら上昇傾向にある。特に平日限定の会員権は割安感から人気を集め、一部では昨年末比で2倍以上に高騰している。
会員権取引業界では「法人需要の回復が追い風となり、第3次ゴルフブームは今後も長く続く」との見方がある。しかし、景気減速の懸念から一時的に需要が落ち着く可能性もあり、今後の相場は予断を許さない。
接待ゴルフの費用処理に注意
企業が接待ゴルフを行う場合、費用処理には税務上の注意が必要である。会社がゴルフ会員権を取得した場合は資産として計上できるが、会社が費用を出して役員個人名義で取得した場合は、役員への給与とみなされるのが原則である。
プレー代についても、取引先との接待など業務遂行上必要と認められれば交際費として処理できる。しかし、単なる役員の趣味と判断されれば給与課税の対象となる。また、接待ゴルフのための練習費用は交際費に計上できず、会社が負担した場合は給与として課税される。
クラブハウスでの飲食費も「ゴルフ接待の一部」とされるため、飲食分だけを切り離して処理することはできない。ゴルフ接待費と飲食費を含め、全額を交際費などとして計上する必要がある。
交際費のルールと税制改正
交際費は取引先や仕入先との関係構築・維持のために使われる費用で、接待や飲食、贈答費などが含まれる。法人税上は一定の制限付きで損金算入が認められており、資本金1億円以下の法人では「年800万円まで全額」または「交際費の50%」を、資本金1億円超の法人は「交際費の50%」を損金にできる。一方、資本金100億円を超える大企業では全額損金不算入となる。
交際費と似た科目には福利厚生費や会議費がある。区分を誤ると税務リスクを抱えることになる。例えば、従業員向けレクリエーション費用は福利厚生費、社内外の会議での軽食費用は会議費に該当する。
なお、令和6年度税制改正により、従来は「1人あたり5,000円以下」であれば交際費から除外できた基準が「1人あたり1万円以下」に引き上げられた。たとえば6人で6万円以下の飲食を行った場合には交際費ではなく会議費として処理でき、全額を損金算入できる。
どうやって税務に落とし込む? 企業が問われる「実務力」
ゴルフ会員権の高騰と接待需要の回復は、企業にとって新たなビジネス機会である一方、税務リスクも伴う。費用の計上区分を誤れば、思わぬ課税を受ける恐れがある。稟議書や記録でプレーの目的を明確にし、公私の線引きを徹底することが重要である。
貝井英則氏(シェル総合会計事務所)は税理士の立場から以下のようにアドバイスする。
「消費税については、ゴルフ会員権の発行時は不課税ですが、譲渡時には課税取引となります。また、過去に購入したゴルフ会員権が値下がりして『塩漬け』となっている場合でも、一定の条件のもとで処分すれば、節税につながるケースがあります。
税理士としての実感では、ゴルフは取引先との円滑な関係づくりに役立つ一方で、帳簿を見てみると、ゴルフの回数が多い経営者の会社で、業績が振るわないケースも見受けられることがあります。ゴルフはあくまで本業あってこそ。本業に支障をきたさない範囲で楽しむことをおすすめします」(貝井税理士)
今後のゴルフブームの行方とともに、企業には「接待の復活」をどのように税務対応に落とし込むかという実務力も問われている。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
\1月20日(火)ライブ配信/
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