(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進むなか、「年金だけで暮らしていけるのか」という不安を抱える高齢者は少なくありません。特に配偶者に先立たれた後、生活の柱となる年金が大幅に減ってしまうケースは珍しくなく、厳しい現実に直面する人は多いのです。生活費の不足をどう補うか、また制度をどのように活用するかが、高齢期の安心を大きく左右します。

「年金生活者支援給付金」とは

この制度は2019年に始まりました。所得が一定水準以下の高齢者に対し、基礎年金に上乗せして支給される仕組みで、2024年度時点では、老齢基礎年金の受給者で月5,090円、遺族・障害基礎年金受給者で月3,000円台の給付が基本です。

 

厚生労働省の資料によると、対象でありながら申請していない人も多く、周知不足が課題とされています。

 

幸子さんは年金事務所に出向いて手続きを行い、数ヵ月後には月4,000円あまりの給付金を受け取れるようになりました。

 

「12万円台で必死にやりくりしていたから、月に4,000円増えるだけでも本当に助かります。スーパーでお惣菜を1品足せるとか、病院代に充てられるとか…。それだけで心が少し軽くなりました」

 

高齢者を対象とした制度は複雑で、本人が知らずに受給しないままになっていることもあります。

 

老後の生活不安は、“制度を知らなかった”ことで深刻化することが少なくありません。年金機構や自治体から届く通知に目を通し、支援を受けられるか確認することが重要です。

 

幸子さんは現在、年金12万円と支援給付金を合わせ、質素ながらも生活を続けています。さらに地域包括支援センターの見守り制度や自治体の食事支援も利用しながら、「一人でも何とかやっていける」という自信を取り戻しつつあります。

 

「夫が亡くなったときは絶望しかなかった。でも、緑の封筒が届いたことで“まだ頑張れる”って思えました。これからは胸を張って、一人でも生きていけると言えるようにしたいです」

 

配偶者に先立たれた高齢女性の年金は、夫婦時代の生活水準に比べて大きく減少します。もちろん、食費など人数に比例して減る支出もありますが、住居費・固定資産税や光熱費は大きく変わらず、医療費は年齢とともにむしろ増える傾向にあります。

 

さらに家事や買い物の担い手を失うことで外部サービスに頼る場面も増え、支出が減らない一方で収入だけが大きく落ち込むのです。その差をどう補うかが、高齢期の生活を安定させる大きな課題となります。

 

 

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