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「たった300万円の家」がもたらした争い
今回のケースでは、父が遺した家の評価額は300万円、売却価値はそれ以下ともいわれていました。しかし、相続が絡むと、単なる金額以上の感情が渦巻くことがあります。
「自分は何も知らされなかった」
「勝手に財産を処分された」
「言い出しにくくて黙っていた」
こうした小さなボタンの掛け違いが、家族関係に決定的なひびを入れるのです。
千佳さんは、兄との話し合いがこじれたのち、最終的には法的に分割協議を行うことを選びましたが、兄とはその後、連絡を取らなくなったといいます。
実はこうした「相続による兄弟姉妹の絶縁」は、決して珍しくありません。
とくに「地方の空き家」や「価値が微妙な不動産」は、相続人の誰か一人が引き取って管理・処分するケースが多く、不公平感や事後報告による不信が原因で、兄弟姉妹が口をきかなくなった例も少なくないのです。
相続トラブルを未然に防ぐには、以下の3つのポイントが重要です。
■早めの家族間共有
葬儀後や法要のタイミングで、財産や手続きについて「全員で共有する時間」を持つことが大切です。LINEやメールではなく、直接会うか電話で話すのが理想です。
■専門家の活用
少しでも「複雑かも」と思ったら、司法書士や弁護士への相談を検討すべきです。家族内だけで処理を進めると、誤解やトラブルの元になることも。
■親自身による準備
元気なうちに「エンディングノート」や「遺言書」を残すだけで、残された家族の混乱を大幅に減らすことができます。
「300万円の家なんて、売ってもどうせ200万円以下ですよ。でも、家族の信頼は、金額では買えませんでした」
千佳さんは、いまでも父の家の写真を見るたびに胸が痛むといいます。
相続において最も壊れやすいのは、「財産」ではなく「家族の関係性」です。だからこそ、少額だからこそ慎重に、感情よりも透明性を重視する──それが、遺された人々にとって最も大切な“相続のマナー”なのかもしれません。
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