夫に頼って生きてきた66歳、専業主婦
「うちの人は本当に真面目で、家族のためによく働いてくれる人でした」――そう語るのは、68歳で突然夫を亡くした専業主婦のMさん(66歳)です。
Mさんは短期大学を卒業後、地元企業に就職。そこで営業部にいた夫と出会い、23歳で結婚しました。2年後に子どもを授かったタイミングで退職し、それ以降は時折パートに出ることもありましたが、ほとんどの時間を専業主婦として過ごしてきたといいます。
夫は家族を支えるため仕事に邁進。30代でマンションを購入、子ども2人を私立大学に入れ、それぞれ自立させました。その後、65歳で定年退職した後も、週5日のアルバイトを探して働いていたといいます。
Mさんが「あなた、そろそろゆっくりすれば?」と言っても、夫は「働けるうちは働かないと」ときっぱりと言い、毎日朝早くから仕事に向かいます。そんな頼れる夫に家計の管理もすべて一任し、Mさんは「夫がいれば一生安泰」と信じて疑いませんでした。
しかし、夫が心筋梗塞で突然この世を去ったことで、状況は一変します。
夫の死後に露呈した「まさかの事態」
夫の死に、Mさんは呆然自失。喪主は長男に頼み、なんとか葬儀を終えました。しっかり者の夫を失い、自分はやっていけるのか……。不安はすぐに現実のものになります。
生活費や葬儀費用のために銀行からお金を下ろそうとしても、暗証番号がわかりません。適当に入れてみればロックされ、窓口では「ご本人以外は引き出せません」と告げられ、驚愕するMさん。
そして、そのやりとり後、夫の口座は凍結。Mさんは手元にわずかばかりの現金とクレジットカードしかなく、仕方なく子どもたちからお金を借りつつ相続手続きを進めることになりました。
そして、お金周りの全体像が見えてきたとき、Mさんはまたも衝撃を受けることになります。いくつかの通帳を合計しても、貯金はわずか300万円ほどしかなかったのです。
息子にそのことを伝えると、「嘘だろ。それじゃ母さん、暮らしていけないんじゃないの?」と深刻な声。さらにMさんは不安に陥ることになりました。
