(※写真はイメージです/PIXTA)

親が亡くなったあと、家族が直面する「死後の手続き」は、思っている以上に煩雑です。とくに独居高齢者のケースでは、家財の片付けや契約の解約、借金の精算など、遺族に大きな負担がのしかかります。母親を突然亡くした30代女性は、その後の半年間、生活と手続きの両立に追われ続けました。「遺族がすべてを背負う」現実を見ていきます。

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「何から手をつけたら…」母の死で始まった“終わらない日々”

会社員の三浦彩花さん(仮名・38歳)が、母親・美代子さん(享年75)の訃報を受けたのは、昨年の冬のことでした。

 

実家から離れて一人暮らしをしていた彩花さんは、週に1回程度連絡をとる程度。母親は特に持病もなく、「元気にやっている」と話していたといいます。

 

しかし、突然の心疾患により、自宅で孤独死。数日後、近所の住民の通報で発見されました。

 

「もっと頻繁に会っていれば、気づけたのかもしれない」

 

そんな後悔を胸に抱えながらも、葬儀、役所の手続き、公共料金の解約…と立て続けに処理すべきことが押し寄せました。

 

数々の手続きを終え、ようやく気持ちを整理しようとした矢先、待ち受けていたのが「遺品整理」でした。1Kのアパートに所狭しと詰め込まれた生活用品と紙類の山を前に、彩花さんは言葉を失います。

 

「1人暮らしなのに、どうしてこんなに物が…」

 

片付け業者に見積もりを依頼すると、作業費・廃棄費用込みで30万円以上。「予想を超える金額でしたが、自分1人ではとても対応できない…」と、依頼を決断しました。

 

さらに通帳や郵便物から発覚したのが、複数の消費者金融からの借入でした。合計残高は約70万円。

 

美代子さんが毎月の年金でどうにか返済していた形跡はあったものの、死亡により返済はストップ。相続人である彩花さんに、債権者から連絡が来るようになったのです。

 

「正直、最初に“相続放棄”をしていれば、借金の返済義務から逃れられたかもしれません」

 

しかし、彩花さんはすでに一部の遺品に手をつけていたほか、実家の敷金返還や未払い金の清算にも対応しており、「単純承認」とみなされる可能性が高くなっていました。

 

弁護士にも相談しましたが、「この段階では放棄は難しい」との見解。

 

「たった一人で暮らし、最期を迎えた母を、今さら“放棄”することもできなかった」と、彩花さんは振り返ります。

 

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