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71歳おひとり様の「完璧な老後計画」のはずが…
地方の地域振興財団を70歳で退職した元団体職員・林田博志さん(仮名/71歳)。30代後半で市役所勤務だった叔父の紹介によって転職して以来、30年以上勤め上げました。年収は高いとはいえない額だったもののストレスの少ない職場で、仕事のあとに馴染みのスナックで一杯飲むのがささやかな楽しみという、堅実な人生を送ってきました。結婚はせず、親の他界後は賃貸アパートで一人暮らしをしています。
70歳まで働き続けたことで、退職金は900万円。さらに、年金は繰下げ受給を選び、月額17万円から25万円にまで増額されていました。
「この退職金と年金があれば、贅沢をしなければ一人で十分に暮らしていけるだろう……」
林田さんの老後計画は、完璧にみえました。しかしその計画は、退職からわずか数ヵ月で、もろくも崩れ去ることになるのです。
年金25万円のはずが…天引きされた「5万5,000円」の正体
「手取りが、19万円ちょっと……?」
退職から数ヵ月後、年金機構から届いた「年金支給決定通知書」を見て、林田さんは目を疑いました。
想定よりも5万円以上も少ない金額に、不安が膨らんでいきます。通知書には、税金と社会保険料で月5万5,000円が天引きされていることが記されていました。驚いた林田さんが市役所の窓口で尋ねると、職員から説明を受けます。
「健康保険料や住民税は、前年の年収をもとに計算されます。林田さんのように退職されたばかりだと、まだ収入の高かった現役時代の所得が反映されるため、保険料の負担が大きくなるのです」
退職前の林田さんの年収は約430万円。この金額をもとに算出された結果が、月5万5,000円もの天引きだったのでした。さらに、年金の繰下げ増額分は課税所得を増やすため、翌年以降も月4万円程度の天引きが続くという事実。
ゆとりをもって一人で生きるために選んだはずの繰下げ受給が、税・保険料の増加という形で、自身の首を絞める結果になっていたのです。

