(※写真はイメージです/PIXTA)

資産はあるのに、現金が足りない――。こうした「資産リッチ・キャッシュプア」状態に陥る高齢者が増えています。特に、高級マンションや都心の不動産を所有している高齢世帯では、「見た目の豊かさ」と「実際の生活苦」のギャップが深刻化。今回は、都内のタワーマンションに暮らす70代と60代の未婚姉妹が直面した「想定外の現実」を紹介します。

外からは見えない「資産リッチ・キャッシュプア」

姉妹のように、高額資産を保有していても、現金収入が乏しい高齢世帯は少なくありません。「資産リッチ・キャッシュプア」と呼ばれ、老後破産のリスク要因とされています。

 

国税庁の『令和5年分 相続税の申告事績の概要』によると、相続財産の内訳において、土地と家屋を合わせた不動産が占める割合は36.5%となっており、相続財産の大きな部分を不動産資産が占める傾向にあります。

 

また、固定資産税や住民税は現金での納付が前提です。家や土地があるからといって、必ずしも安心した老後が送れるわけではないのです。

 

「資産があっても、現金がなければ生きていけない。そんな当たり前のことに、70歳を過ぎてやっと気づきました」

 

不動産は評価額が高くても、売却しない限り現金化できません。しかし「住み慣れた家を手放したくない」「親の遺産だから守りたい」といった気持ちから、売却をためらう人も多いのが実情です。

 

都心の一等地に住み、資産3億円を持っていても、見かけほど裕福な暮らしではないことも珍しくありません。老後を安心して暮らすためには、日々の現金収入の確保や、公的制度の知識と利用が鍵となります。

 

「持ち家があれば安心」という時代は、すでに過去のものとなりつつあります。人生100年時代を見据え、資産をどう守り、どう活かすかを考える時代が来ているのです。

 

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