本当に高く売るための工夫とは
不動産エージェントは、物件の査定だけでなく、すべての取引において重要なパートナーとなります。したがって、相互に信頼を築き上手に付き合えるかが、住み替えによる資産形成の成否を左右すると言っても過言ではありません。
不動産エージェントとのやりとりにおいて大事なのは、自身の考えをしっかりと伝えることです。例えば、物件の査定を依頼する場合は、「図面には載らない、生活してみて感じた良さ」を積極的にアピールしてください。
「夜間は非常に静か」「朝日が気持ちいい」「エレベーターで会った際に住民同士挨拶し合い心地よい」「夏には花火大会が見える」といった感覚的な魅力は、実際に住んだ人でなければ分からない貴重な情報です。AIが拾いきれない、こうした思い出やエピソードは、買い手の心に響く要素として大きな力を持ちます。
より効果的に伝えるには、売主自身が「この物件のどこが気に入っていたか」を箇条書きにしてまとめるのがお勧めです。売主の声は不動産エージェントのセールストークのベースになり、購入希望者への訴求力を高める資料として活用されます。
「隣の部屋と距離があるため音が気にならない」「スーパーが徒歩1分で便利」「下の階が共用部分であるため、子どもが気にせずはしゃぐことができる」など、日常的な使い勝手の良さも伝える価値があります。
視覚的なアピールも効果的です。例えば、バルコニーからの夜景、桜並木、富士山が見える瞬間、あるいは家族で観た花火大会の様子などを撮影しておけば、実際の生活の魅力がリアルに伝わります。これらの写真は、内覧前の段階で購入希望者に好印象を与える手助けとなります。
新築時のパンフレットや設備仕様書、契約書といった購入時の資料を添えれば、買主に安心感を与えると同時に、販売時の説得材料にもなります。特に設備や内装仕様が一般的な物件と比べて優れている場合は、アピール材料になります。
加えて、「担当の不動産エージェントに頼る姿勢」も重要なポイントです。ただ交渉を任せるのではなく、例えば、写真撮影時に家具を整えたり、日中に明るくなる時間帯を伝えたりするなど、積極的に協力する姿勢が、高値売却に向けた不動産エージェントのモチベーションを引き上げます。
優れた不動産エージェントは、売主と一緒に片づけをして、どのように見せれば魅力を最大化できるか考え、写真撮影もプロに任せずに行います。まさに、エージェント(代理人)として同じ目線で動いてくれるかの見極めも重要です。
最後に、タワーマンションでは「共用施設の魅力」も無視できません。コンシェルジュサービス、フィットネスジム、ゲストルーム、ビューラウンジなどの存在は、物件の評価を大きく押し上げます。査定時にこれらの価値が正確に反映されていない場合でも、販売活動を通じて強く訴求することで、実際の売却価格を押し上げることが可能です。
査定価格はあくまで目安にすぎません。重要なのは、そこからどう売却戦略を立てるかです。不動産エージェントとともに情報を整理し、魅力を最大限伝えることで、相場を超える高値売却を実現できる可能性は十分にあります。
SREリアルティ
監修:SREホールディングス 東 毅憲
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