(※写真はイメージです/PIXTA)

「8050問題」が深刻化しています。かつては子育てを終えた後に「第二の人生」を歩むとされた高齢者世代ですが、経済的・精神的に自立できない子どもとの共依存関係によって、老後の安心が揺らぐ家庭も少なくありません。とりわけ、高齢の親が年金収入を支えに暮らしを支える構図は、二人三脚のように見えて、将来的には大きな不安の種となることもあるのです。

「せめて自分の足で歩けるようにしてあげたい」

和子さんは、せめてもの備えとして、自分の葬儀や医療に関する希望を書いたエンディングノートをつけ始めたといいます。

 

「“あの子をよろしく”と他人に言えるわけでもないし、なんとかできるうちに、自分が動かないと」

 

息子の年金が将来、月5〜6万円にも満たない可能性があることを知り、「生活保護のことも一緒に調べてみない?」と声をかけるようになった和子さん。

 

「息子を責めたいわけじゃないんです。せめて自分の足で歩けるようにしてあげたい。できるうちに一歩踏み出せたら…と思って」

 

いわゆる「8050問題」の背景には、長年にわたる非正規雇用、社会との分断、親子間の遠慮や期待など、複雑な事情が絡みます。「子どもが悪い」「親が悪い」と単純に切り分けられる問題ではありません。

 

だからこそ、誰かが疲れ果ててしまう前に、地域の支援窓口や第三者の手を借りることが必要です。

 

少子高齢化、単身世帯の増加、非正規雇用の広がり。こうした現実は、今後ますます「親子の老後」の形を変えていくでしょう。

 

将来に備えるとは、備蓄を増やすことではなく、頼れる選択肢を持っておくことでもあります。そして何よりも、目の前にいる家族と、少しずつでも「これから」を話し合うこと。それが、第一歩になるのかもしれません。

 

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