「せめて自分の足で歩けるようにしてあげたい」
和子さんは、せめてもの備えとして、自分の葬儀や医療に関する希望を書いたエンディングノートをつけ始めたといいます。
「“あの子をよろしく”と他人に言えるわけでもないし、なんとかできるうちに、自分が動かないと」
息子の年金が将来、月5〜6万円にも満たない可能性があることを知り、「生活保護のことも一緒に調べてみない?」と声をかけるようになった和子さん。
「息子を責めたいわけじゃないんです。せめて自分の足で歩けるようにしてあげたい。できるうちに一歩踏み出せたら…と思って」
いわゆる「8050問題」の背景には、長年にわたる非正規雇用、社会との分断、親子間の遠慮や期待など、複雑な事情が絡みます。「子どもが悪い」「親が悪い」と単純に切り分けられる問題ではありません。
だからこそ、誰かが疲れ果ててしまう前に、地域の支援窓口や第三者の手を借りることが必要です。
少子高齢化、単身世帯の増加、非正規雇用の広がり。こうした現実は、今後ますます「親子の老後」の形を変えていくでしょう。
将来に備えるとは、備蓄を増やすことではなく、頼れる選択肢を持っておくことでもあります。そして何よりも、目の前にいる家族と、少しずつでも「これから」を話し合うこと。それが、第一歩になるのかもしれません。
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