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「定額だから安心」…油断が、高齢者を静かな地獄へ
スマートフォンが生活インフラの一部となった今、アプリやサービスの「サブスクリプション(定額課金)」に頼る人は増え続けています。特に、動画や音楽配信、健康アプリなど「月額数百円」で手軽に始められるサブスクは、高齢者にとっても身近な存在になりつつあります。
一方で、「何に課金しているのかわからない」「知らない間に登録されていた」――そんな「サブスク地獄」に陥る高齢者の相談も年々増加しており、見過ごせない社会問題となっています。
今回は、都内在住の74歳男性・高田正夫さん(仮名)のエピソードをもとに、その実態と制度的な背景をひもときます。
「最初は、スマホ代ってそんなもんかと思っていたんです。でもよくよく見ると、全然身に覚えのないサービスが山ほどついていて……」
年金生活を送る高田さんが、スマートフォンの料金明細を見て違和感を覚えたのは昨年秋のこと。普段は通話とLINE程度しか使っていないにもかかわらず、請求額は月2万円近くにまで膨れ上がっていました。
不審に思い、携帯ショップに相談すると――
「これは全部正規のサブスクリプション契約ですね。詐欺ではありません」
と、冷静に説明されました。その明細の内訳には、
ウイルス対策アプリ:月額550円
動画配信サービス:月額990円
占い・健康情報アプリ:月額880円
有料ゲーム内アイテム:週額500円× 4週
クラウド写真保存サービス:月額300円
音楽アプリの有料会員:月額1,100円
……など、13件の有料サービスが自動課金状態になっていたのです。
高田さん自身には、「課金した」という自覚はまったくありません。
「天気予報を見るためにアプリを開いたことはあったけど、お金がかかるなんて書いてなかったと思うんですよ。でも“1週間無料”とか“続ける”ってボタンを押したら、そこで契約になっていたみたいで……」
サブスクの多くは「無料トライアル」から始まりますが、一定期間が過ぎると自動的に有料プランへ移行するという仕組みが一般的です。しかもその契約は、アプリのワンタップやスマホ購入時の初期設定でいつの間にか成立しているケースも少なくありません。
「たしかに契約内容をよく読まずに“同意”をタップしていたかもしれない。でも、自分が押したことにすら気づいていないんです」
高田さんの言葉からは、「詐欺ではない」と言われても納得できない戸惑いがにじみます。
