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妻、一人で帰宅
朝の支度、食事の好み、観光地の選定、どれをとっても、夫の主導で進み、妻は黙ってそれに従うだけ。旅のスタイルをめぐる価値観の違いは、次第に修復不可能な深い溝となっていきました。
そんな我慢が限界に達した佳子さんは、ある日、旅の途中で一人自宅に帰ってしまいます。
信一さんは怒りをあらわにしつつも、意地になって旅を続けました。しかし、キャンピングカーの中で一人きりの夜が続くにつれ、募るのは空虚感ばかり。
残り4分の1の行程を終えようとしていた矢先、佳子さんからLINEが。「離婚したい」というメッセージでした。
急いで旅から戻ったものの、佳子さんの決意は揺るぎません。旅先での自分本位な振る舞いは、彼女の中に夫への嫌悪感すら抱かせていたのです。
離婚が成立したのは3ヵ月後。信一さんは、退職金と老後資産のうち1,200万円を財産分与として佳子さんに渡すことになりました。さらに、月額22万円のうち、夫名義で受け取っていた厚生年金も、年金分割により5万円を譲ることに。
彼の手元に残されたのは、月12万円ほどの年金と、預金約1,200万円、そして“自宅”だけ。目の前には、年間30万円の維持費だけがかさむ「夢の残骸」――キャンピングカーが虚しく佇んでいました。
離婚で破綻する老後
法務省の「司法統計年報」によると、60歳以上の離婚件数は年間約2万件前後に上り、全体の約23.5%(※2022年厚労省人口動態統計)を占めています。これは、20年前と比べても増加傾向にあり、いまや熟年離婚は“珍しくない時代”です。
背景には、今回のように定年後の生活スタイルの不一致や、若いころから抱えていた不満など、さまざまな要因があります。
離婚は、夫婦の人間関係だけでなく、人生設計のすべてを壊しかねません。
離婚時の「財産分与」は、婚姻期間中に築いた共有財産(預貯金・不動産・車・退職金など)を原則半分にわけあう制度です。また「年金分割」は、婚姻期間中の厚生年金加入分について、離婚後も元配偶者に年金が分割支給される仕組みです。
信一さんのように、退職金の大半を趣味に費やしたあとに財産分与となれば、再び資産を築くのは困難でしょう。さらに年金収入まで減れば、生活は一気に「破綻ライン」に近づきます。
老後に夢や楽しみを持つことは大事ですが、それを実現するためには「準備」と「ともに過ごす相手への配慮」が不可欠です。
彼の最大の失敗は、妻の不満に耳を傾けなかったことでした。少し行程を変える、暖かい時期に出直すなど、相手を思いやる選択肢もあったはずです。夢に固執し、相手への配慮を欠いた結果、夫婦関係も資産計画も崩れてしまいました。
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