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夫婦が描いた「海外移住プラン」
東京都在住の佐藤正夫さん(仮名・72歳)と妻の恵子さん(68歳)は、定年後の新しい暮らしに胸をふくらませていました。
「退職したら、物価が安くて温暖な国で暮らそう」
「日本の冬は寒いし、老後はのんびり暮らしたいわね」
そう語り合っていた2人が候補に選んだのは、過去に旅行で訪れた東南アジアのリゾート地。現地の人々の温かさや、食費や家賃の安さに魅了されました。
年金は夫婦合わせて月18万円、預貯金は約2,000万円。「この資金なら、日本よりはるかに余裕のある生活ができるはず」と信じていました。
しかし、移住準備を進めると、予想外の出費が浮かび上がります。
「長期滞在ビザの取得だけで数十万円。しかも更新費用もかかると知って驚きました」と正夫さん。
さらに現地での医療保険は、日本のような国民皆保険ではなく、持病があると保険料が跳ね上がるケースも。「今は健康ですが、今後病気にならないとも限りませんから」と恵子さんは話します。
加えて、日本との往復航空券代も大きな負担に。年に2〜3回は帰国すると想定すると、年間で数十万円単位の出費になります。
計画を揺るがしたもう一つの要因は、家族の存在です。
「え…お父さんたち、本当に海外に行くの? 孫に会う機会が減っちゃうじゃない」息子夫婦からそう言われたとき、正夫さん夫妻の心は揺れました。
「孫の七五三や入学式、運動会…そういう節目に立ち会えなくなるのは寂しいなと思いました」と恵子さん。
さらに、オンライン通話では感じられない「距離」を懸念する気持ちが強まり、次第に海外移住への熱は冷めていきました。
最終的に、佐藤さん夫妻は海外移住を断念。「やっぱり安心できる医療と、家族が近くにいる生活を選びたい」と結論を出しました。
代わりに選んだのは、日本国内の温暖な地方に冬だけ滞在する「プチ移住」。夏は東京、冬は九州や沖縄で過ごす二拠点生活です。
「海外暮らしの夢は消えたけど、旅行で年に数回行けば十分。家族にも会えるし、これが私たちには合っていると思います」と正夫さんは笑います。
