ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
納税者、税務署それぞれの主張とは…
納税者の主張
Cさんは、民法における相続放棄の規定「相続に関しては、初めから相続人にならなかったものとみなされる」を根拠に、特例の適用要件である「当該被相続人の配偶者がいないこと」にも影響を及ぼすと主張しました。
すなわち、Bさんの相続放棄により、相続開始時点でAさんには配偶者が「いなかった」と解釈できるため、Cさんは特例の適用を受ける別居親族に該当するとしました。
税務署の主張
これに対し、税務署は、小規模宅地等の特例における「当該被相続人の配偶者」とは、相続開始時において法律上の婚姻関係にある者を指すと反論しました。
相続放棄の効力は「相続に関してのみ」に限定され、法律上の婚姻関係には影響を与えないため、Aさんには配偶者が存在するとしました。よって、Cさんは別居親族として特例の要件を満たさない、としています。
国税不服審判所の判断
国税不服審判所は、まず「被相続人の配偶者」の意味について、被相続人と法律上の婚姻関係にある者を指すと明示しました。これは、特例の規定が「相続人」ではなく「配偶者」という言葉を使用していることからも明らかです。
さらに、相続放棄の効力は「相続に関するもの」に限定され、法律上の婚姻関係には影響を及ぼさないと判断しました。したがって、相続放棄をしても、その者が被相続人の「配偶者」である事実は変わらないことになります。
以上に基づき、法律上の配偶者であるBさんがいる以上、Cさんは小規模宅地等の特例を適用できないと結論付けられました。
ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
まとめ
この事例は、小規模宅地等の特例の適用にあたり、「親族」や「配偶者」の解釈について判断が示されたものです。
小規模宅地等の特例における「配偶者」については、相続放棄の有無にかかわらず、相続開始時点での法律上の婚姻関係によって判断されます。相続放棄は、あくまで「相続人としての地位」を失わせるものであり、「配偶者であるという身分」自体を消滅させるものではありません。
小規模宅地等の特例は相続税額に与える影響が大きいものであるため、複雑な家族関係や相続放棄などが絡む場合は、安易な自己判断をせず、専門家へ事前相談などによって、正確な適用可否を判断してもらうことが不可欠といえるでしょう。
高橋 創
税理士
注目のセミナー情報
【国内不動産】12月23日(火)開催
Airbnb Partnersに公式に参加する企業が教える
初期費用500万円で始める!「利益率40%超」の民泊ビジネス完全攻略セミナー
超優良物件を抽出できる「自動化データ民泊システム」の秘密
【その他】12月24日(水)開催
応援したい若者を自身で選ぶ!
あなたの名を冠した「オリジナル奨学金」で後世に残る社会貢献
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
