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納税者、税務署それぞれの主張とは…
納税者の主張
Cさんは、民法における相続放棄の規定「相続に関しては、初めから相続人にならなかったものとみなされる」を根拠に、特例の適用要件である「当該被相続人の配偶者がいないこと」にも影響を及ぼすと主張しました。
すなわち、Bさんの相続放棄により、相続開始時点でAさんには配偶者が「いなかった」と解釈できるため、Cさんは特例の適用を受ける別居親族に該当するとしました。
税務署の主張
これに対し、税務署は、小規模宅地等の特例における「当該被相続人の配偶者」とは、相続開始時において法律上の婚姻関係にある者を指すと反論しました。
相続放棄の効力は「相続に関してのみ」に限定され、法律上の婚姻関係には影響を与えないため、Aさんには配偶者が存在するとしました。よって、Cさんは別居親族として特例の要件を満たさない、としています。
国税不服審判所の判断
国税不服審判所は、まず「被相続人の配偶者」の意味について、被相続人と法律上の婚姻関係にある者を指すと明示しました。これは、特例の規定が「相続人」ではなく「配偶者」という言葉を使用していることからも明らかです。
さらに、相続放棄の効力は「相続に関するもの」に限定され、法律上の婚姻関係には影響を及ぼさないと判断しました。したがって、相続放棄をしても、その者が被相続人の「配偶者」である事実は変わらないことになります。
以上に基づき、法律上の配偶者であるBさんがいる以上、Cさんは小規模宅地等の特例を適用できないと結論付けられました。
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まとめ
この事例は、小規模宅地等の特例の適用にあたり、「親族」や「配偶者」の解釈について判断が示されたものです。
小規模宅地等の特例における「配偶者」については、相続放棄の有無にかかわらず、相続開始時点での法律上の婚姻関係によって判断されます。相続放棄は、あくまで「相続人としての地位」を失わせるものであり、「配偶者であるという身分」自体を消滅させるものではありません。
小規模宅地等の特例は相続税額に与える影響が大きいものであるため、複雑な家族関係や相続放棄などが絡む場合は、安易な自己判断をせず、専門家へ事前相談などによって、正確な適用可否を判断してもらうことが不可欠といえるでしょう。
高橋 創
税理士
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