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基礎控除内に収めたつもりが…税務署から届いた「青い封筒」
「まさか課税されるなんて、思ってもみませんでした」
都内に住む70代の佐々木誠一さん(仮名)は、郵便受けに入っていた一通の青い封筒を見て固まりました。差出人は税務署。中には「お尋ね」と題された書面と、孫への贈与に関する詳細な記載を求める用紙が入っていました。
佐々木さんには、高校生と大学生の2人の孫がいます。7年前、長男から「教育費がかさむ」と相談されたことをきっかけに、毎年100万円ずつ援助を続けてきました。
「塾代や授業料、海外留学の準備金など、全部孫のためですから。贈与税なんて考えたこともありませんでした」
総額は7年間で700万円。すべて現金で手渡し、使い道は長男夫婦に任せていました。
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。このため「毎年100万円なら非課税」と思っている人は多いのですが、実際には次のような注意点があります。
●基礎控除の対象は1年間に受け取った贈与の合計額
●現金だけでなく、車・宝飾品・家電など現物贈与も含めて計算
●複数の人からの贈与も合算(例:祖父と祖母から50万円ずつ=合計100万円)
●年をまたいでも記録が不十分だと、過去分をさかのぼって課税される可能性あり
佐々木さんの場合、祝い金や生活費の援助も含めると、基礎控除額を超える年が複数ありました。さらに教育資金を非課税で贈与する制度を使っていなかったため、通常の贈与とみなされました。
税務署が贈与を把握したきっかけは、長男が確定申告で教育関連の控除を受けた際、資金の出所が確認されたことでした。
「教育資金の一括贈与非課税制度」を利用するには、金融機関での専用口座開設や領収書提出が必須ですが、佐々木さんは一切行っていませんでした。
税務署とのやり取りの結果、過去5年分について贈与税の申告漏れが指摘され、追徴課税として本税と加算税あわせて約100万円を納付することに。
「孫のためにと思っていたお金が、こんな形で税金になるなんて…。もっと早く仕組みを知っていれば」
基礎控除内に収めたつもりでも、他の贈与や現物贈与と合算すると超えるケースがあります。家族間でも金銭や品物の授受は記録を残すことが大切です。教育資金をまとまって贈与する場合は、非課税制度を正しく利用することを強くおすすめします。
