(※写真はイメージです/PIXTA)

墓じまいは、先祖の供養や家族の負担軽減を目的に選ばれる一方で、想定以上の費用がかかることも少なくありません。墓石の撤去や永代供養料、お布施、手続き費用などが重なり、総額は数十万円に及ぶ場合もあります。早めの情報収集と計画が重要です。

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墓じまいを決意するも…見積書を見て驚愕

「えっ、そんなにかかるの?」

 

年金月15万円で暮らす74歳の山口誠さん(仮名)。寺から見積書を受け取った瞬間、思わず声を上げました。そこに記載されていた「総額85万円」という数字は、想定していた額を大きく上回っていたのです。

 

山口さんは数年前に妻を亡くし、子どもは県外で暮らしています。自分の体力の衰えを感じ始めた頃、「将来、子どもたちに墓の管理を負担させたくない」と考えるようになりました。

 

テレビや雑誌で「墓じまい」という言葉を耳にするたびに、自分もいずれやらなければと感じていたといいます。

 

「お骨を永代供養に移して、墓石を撤去するだけだと思っていたんです。50万円もあれば足りるのかな、と」

 

しかし、実際に菩提寺に相談し、石材店から見積もりを取ると——

 

墓石撤去・整地費用:45万円

永代供養料(合祀):20万円

閉眼供養(魂抜き)お布施:5万円

改葬許可申請・事務手数料:5万円

その他雑費・交通費など:10万円

 

合計で85万円。

 

「墓石の撤去や処分、整地にあれほど費用がかかるとは思いませんでした。永代供養料も、納骨堂や合祀の種類によって料金が違うと説明されました」

 

一般的に墓じまいには1区画あたり20〜30万円程度の撤去費用がかかるとされます。これに永代供養料やお布施、書類申請などの費用を加えると、総額50〜100万円程度になるケースが多いといわれています。

 

特に地方から都市部の納骨施設に遺骨を移す場合や、墓地が山間部など撤去が困難な場所にある場合は、費用が高くなりやすい傾向があります。

 

山口さんは現在、年金月15万円とわずかな貯蓄で暮らしています。85万円という金額は、生活費半年分に相当します。

 

「子どもに頼ればよかったのかもしれませんが、自分で決めたことですから。ただ、もっと早く見積もりを取って、計画的に貯めておけばよかった」

 

墓じまいは感情的にも費用的にも負担が大きい手続きです。寺や石材店だけでなく、複数の業者から見積もりを取ること、自治体への改葬許可申請の流れを事前に確認することが重要です。また、お布施や永代供養料は寺ごとに金額差が大きいので、事前に明確にしておく必要があります。

 

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