(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの企業がはまりやすい落とし穴の一つに、「新規事業開発=新商品の開発」があります。その誤解のまま、商品アイデアをいくら練り直し変えてみても既存の商品のバージョンアップにしかならず「新規事業」の開発にはつながらないのです。では、なにを検討すれば新規事業の開発につながるのでしょうか。本記事では、リクルートの事業開発部門所長として多様な新規事業開発に携わり、独立後もコンサルティングファームOmelette株式会社を創業し、多くの企業を支援している羽野仁彦氏による著書『9割の企業がはまってしまう 新規事業開発の落とし穴 』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、「課題」から考える新規事業開発について解説します。

「不」があるかどうかを見極める

では、新規事業のスタートになる「課題」の設定は、どのようにして行えばよいのでしょうか。それは「不」を見つけることです。新規事業は、これまで自社が解決していない新しい「不」の解消を目的とします。

 

「不」とは、直接的な不満のような「不」以外にも、その周辺にさまざまな「不」が存在しています。不満、不平、不幸、不足、不具合、不便、不自由などがどこにあったのか、商品やサービスの枠を超えて背景にさかのぼり、「不」も見直してみます。

 

多くの支持を得て成功している世のなかの事業を見渡してみましょう。スターバックス、ユニクロ、Amazonなど、市場で確固たる地位を築いている事業は多くあります。では、それらの事業が登場する以前はどのような「不」があって、どのように解決して、ハッピーな状態にしようとしたのか、改めて商品やサービスが生まれてきた背景にさかのぼって考えてみると新たな発見があります。

 

日常生活や興味・関心があり、かつ、自社事業に関連がある業界で注目している商品やサービスがあるなら、それがなぜ生まれてきたのか、というところに立ち返って考えてみましょう。

 

ここで注意が必要な点があります。「不」を見つけて事業計画を立案するには、「広がり」と「普遍性」が必要です。一部の人だけが感じている「不」ではなく、「不」の広がりとして、「大きさ(人数、地域、市場)」「頻度(毎日なのか年に1回程度なのか)」「深さ(深刻さ、重大さ)」があるかを検討することが重要です。

 

どのような「不」を解決するのか、その価値について、多くの人が共感できる「不」でなければ、新規事業として取り組むものにはなりにくいです。

 

私が携わった事業企画で、人気の声優を集めて、目覚まし時計の代わりに、モーニングコールとして、その声で起こしてもらう、という新規事業を検討したことがあります。この事業を検討していたのは携帯電話が普及し始めた頃で、着信メロディが流行していました。着信メロディをヒントにした事業だったのですが、成長させることができず頓挫しました。

 

この新規事業は「あったら面白そう」という気持ちにはなるものの、明確な「不」がなく、多くの人の普遍的な「不」を解決するものではありませんでした。同じように「不」のとらえ方が十分でなく、新規事業としての魅力が弱いというものにこんなものもありました。

 

あるディベロッパーの新規事業コンテストで出てきたアイデアです。ディベロッパーが運営する施設内には、多くの飲食店がテナントとして入っていました。どの店もランチタイムと夜の食事の時間に来客が集中していて、そのほかの時間は手が空いてしまっています。そこで厨房(ちゅうぼう)やホールスタッフの稼働率を上げるために、隙間の時間でお弁当をつくって販売してはどうか、というものでした。

 

企画アイデアとしてはよさそうに思えます。実現性も十分にあります。しかし、施設内で販売できる弁当数には限度があります。施設外で売る方法やデリバリーサービス等も含め、もっと広域で販売することを考えないと、ディベロッパーの新規事業としての魅力がありません。年商数千万円くらいにはなりますが、それではテナント1店舗分程度にしかなりません。

 

「不」をとらえるといっても、どんな「不」でも新規事業につながるというものではないのです。「不」を見つけるときは、その「不」の「広がり」と「普遍性」に対しても検討することで、その「不」をとらえた新規事業の成長可能性が見えてきます。

 

羽野 仁彦

コンサルティングファームOmelette 株式会社

代表取締役

 

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本連載は、2025年6月23日に刊行された羽野仁彦氏の著書『9割の企業がはまってしまう 新規事業開発の落とし穴 』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集したものです。

9割の企業がはまってしまう 新規事業開発の落とし穴

9割の企業がはまってしまう 新規事業開発の落とし穴

羽野 仁彦

幻冬舎メディアコンサルティング

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