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屋根と外壁の全面修繕、給湯器の交換、シロアリ駆除…
「住宅ローンを完済すれば、老後は安泰だと思っていました」
そう語るのは、千葉県在住の山田信子さん(仮名・70歳)。夫と共に35年かけてローンを完済し、退職後は月20万円の年金収入と2,500万円の貯蓄で悠々と暮らしていけると信じていました。
ある冬の日、ふと天井を見上げると、雨染みが目についたという信子さん。その後すぐ、雨漏れが発覚。業者に見積もりを頼むと、屋根と外壁の全面修繕で約300万円──。さらに給湯器の交換費に50万円、シロアリ駆除に30万円と、立て続けの出費に信子さんの胸には重い不安が広がっていきました。
一般的には、築30年以上の戸建てで屋根・外壁の改修だけでも150万~300万円程度、フルリフォームでは500万円〜2,000万円、場合によっては4,000万円を超えるケースも珍しくありません。
また、固定資産税は土地・建物双方の評価額を基に、標準で1.4%の税率が課せられます(都市計画税を含めると1.7%程度)。たとえば評価額が2,000万円であれば、年間約28万円が固定費として必要となります。
結果として、信子さんは毎年数十万円ずつ貯蓄を取り崩しながら、大規模な支出が重なる年もある生活に。引退後のセカンドライフ設計にとって、年金や預貯金だけでは維持できない現実が浮き彫りになりました。
ローン完済後も、住宅を所有している限り維持費は発生します。老後資金計画は、『住まいを維持する費用』を前提に立てるべきです。修繕時期と金額、税・保険・設備更新まで見込んだ柔軟な資金設計が不可欠です。
また、以下の対策も併せて効果的です:
●リフォーム補助制度の活用
自治体によっては、断熱リフォームやバリアフリー改修の支援金が出る場所もあります。
●リバースモーゲージの検討
自宅を担保に資金借入し、その返済を売却時に行う仕組み。住みながら資金確保が可能です。
●賃貸の償却分の活用
一部を賃貸に転用して収益化し、維持費に充てる方法もあります。
住宅ローン完済はゴールではない
住宅ローンが完済されても、安心して暮らせるというわけではありません。予期しない修繕費や税金などは、老後資金の想定を一瞬で狂わせる「黒い天井」になり得ます。
信子さんは今、自治体のリフォーム補助制度を調査中。また、不要になった部屋を賃貸するアイデアも前向きに検討中です。
「これからは家を所有し続けることも、経済的な意思決定のひとつだと実感しています」と信子さん。住宅ローン完済はゴールではなく、新しいスタートなのです。
住宅を所有する以上、ローンの完済は始まりに過ぎない。大規模修繕・設備更新・維持管理の費用を含めた長期資金計画こそが、安心の老後を築く鍵です。
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