亡くなった妻の年金はどうなる?遺族年金の「まさかの金額」
さらに、妻の年金の扱いについても知らないことが多かった信夫さん。妻はほぼ専業主婦で、結婚前に会社員歴がわずかにある程度。その妻が亡くなったら年金がどうなるのか、遺族である自分にいくらか支給されるのかも知りませんでした。
年金事務所で相談したところ、遺族基礎年金は子どもが18歳未満の場合に支給されるため該当せず、遺族厚生年金は妻の加入期間が短いため月2,800円程度の支給になるとのことでした。
数千円という額に初めて現実を突きつけられた信夫さん。自分の老齢厚生年金と合わせても月の収入は16万円程度にとどまります。
しかし、ロックが解除された後に確認した銀行口座の残高は約1,800万円あり、ここでしっかり貯金してくれていた妻に感謝の気持ちが込み上げてきたそうです。
家事もゼロからのスタート…娘に助けを求める日々
家計管理を妻に丸投げしていた信夫さんは、生活面でも数々の問題に直面しました。
昭和気質の信夫さんは、家事全般も妻任せ。台所に立つことはほとんどありませんでした。最初は総菜や外食で済ませましたが、毎日続けると驚くほど出費がかさみ、年金の半分以上が食費で消えました。しかも、味付けにすぐ飽きてしまい、妻のつくる素朴な家庭の味が恋しくなったそうです。
また、今やほぼ全自動の洗濯機の使い方やお風呂の沸かし方もわからず、いちいち娘に教わる始末です。
「スタートボタンを押して…そう、その後はこのボタンを押すだけ」
「おお、動いたな」
自分はこんなに何もできなかったのか。自分の無知と向き合うたびに、信夫さんは落ち込んだといいます。
また、友人も少なくなっていた信夫さんは、娘からの連絡がなければ誰とも話すことのない日々に、なんのために生きているのかと考えるようになりました。
「自分が孤独に弱い人間だとは知らなかった。専業主婦の妻に対して『自分が養ってあげている』と思っていたときもありましたが、あらゆる面で妻に頼っていたのだと、失ってから気づいたんです」
娘からの提案…親子関係の再構築
一人暮らしになった信夫さんを心配し、娘は定期的に連絡をくれました。電話口でも明らかに様子の暗い信夫さんに、こう提案したのです。
「お父さん、同居は難しいけど、よかったら私の近くに引っ越してきて。週末は一緒に夕食を食べれば安心だし、私も嬉しいから」
信夫さんにとっては願ってもない提案でした。家を売却し、娘の近くのマンションに引っ越すことを決めました。妻との思い出が詰まった家でしたが、売却資金で娘やその家族に恩返しもできると考えたのです。
今回の経験から信夫さんはこう語ります。
「妻は生前、『お父さんは何もできないから、私が先に死んだらお願いね』と冗談交じりに娘に頼んでいたそうです。情けないですが、その通りでした。二人には感謝しかありません。私のような古いタイプの人間は、妻がいなくなったら本当に何もできない。こうならないよう、妻任せにはせず、口座情報や保険、毎月の支出などは必ず共有しておくべきです」
娘一家の近くで暮らし始めた信夫さんですが、頼りっぱなしではいけないと自覚しているといいます。
「できることは自分でやっていきたい。妻にも安心して見守ってもらえるように」
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