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「貯金3,000万円」老後資金としては十分な額だが…
「結婚は嬉しいはずなのに、不安にも思ってしまっていて……」
東京都内に暮らす70代の佐伯正夫さん(仮名)と妻・久美子さん(仮名)は、長男・亮さん(38歳/仮名)の結婚話が進むなかで、喜びと同時に大きな悩みを抱えていました。
貯金は3,000万円。老後資金としては十分な額と思っていたものの、結婚に伴う費用負担や将来の生活支援を考えると、気持ちは揺れ動きます。
亮さんは都内の企業で働く会社員。これまで独身生活を続けていましたが、交際3年の女性との結婚を決意しました。
問題は、相手が仕事を辞めて専業主婦になる予定であること、そして挙式・新居・引っ越し費用の多くを「息子夫婦だけでは賄えない」という点でした。
「今の若い人たちは結婚式も簡素にすると思っていたのですが、息子からは『やっぱり式はちゃんと挙げたい』と言われました。見積もりを見てびっくりしましたよ」(正夫さん)
挙式・披露宴、新居の初期費用、家具家電……総額は軽く500万円を超える見込みです。
夫婦は年金暮らしで、月の生活費は約20万円。大きな借金はなく、貯金3,000万円は「老後資金としては安心できる」と思っていました。しかし、ここから一度に数百万円を出すとなると、話は別です。
●今後の医療・介護費の増加
●物価上昇による生活費の圧迫
●予定外の修繕費や家の維持費
「老後資金は減らさないことを前提にしてきたので、大きく取り崩すのはやはり怖いですね」と久美子さんは打ち明けます。
さらに、ひとり息子である亮さんには「いずれ親の介護を担う」役割も待っています。
そのため、夫婦は「結婚資金を援助すれば、息子夫婦の家計は助かるが、介護時に負担をかけすぎないための貯金も残しておきたい」という思いに揺れていました。
また、息子の配偶者との関係も考えなければなりません。経済的援助をすることで「頼られる」のか、「依存される」のか──その境界線は意外とあいまいです。
■親が結婚資金を援助する際のポイント
『ゼクシィ 結婚トレンド調査2024』によると、結婚式費用の平均は約343.9万円。結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用は454.3万円で、そのうち両家の親や親族からの援助は183.5万円にのぼり、新婚費用の4割以上を占める計算になります。
親が援助をする際には、次のような点が重要です。
●援助額の上限を事前に決める(老後資金の確保が最優先)
●贈与税の非課税枠を活用(結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度など)
●使途を明確にする(式費用のみ、新居費用のみなど)
●援助後の生活設計を再シミュレーションする
特に、贈与税の非課税制度は条件や期限があるため、税理士や金融機関に確認して活用することが望ましいです。
