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月11万円の年金と、縮んでいく生活
「画面越しに映った父の顔が、別人のようにやつれて見えたんです。正直、少しショックでした」
会社員の佐藤知美さん(仮名・48歳)は、地方で一人暮らしをしている82歳の父・忠義さん(仮名)と、久しぶりにビデオ通話をしたときのことをそう振り返ります。実家に帰る頻度は減っていたものの、「父はしっかり者」「年金ももらっているし大丈夫」と思い込んでいたといいます。
しかし、通話中の父の言動や表情には、これまでにはなかった“異変”がありました。
忠義さんは、中小企業に定年まで勤め、現在は厚生年金を月11万円ほど受給しています。一見すると、年金受給者としては平均的な部類に入りますが、実際の生活は「ギリギリ」だったといいます。
「エアコンも使っていないみたいで。食事も『買い物は重いから最近はレトルトで済ませてる』って…。前は自炊していたのに、どんどん生活が縮んでいる感じがしました」(知美さん)
地域活動など社会参加の割合も男性の方が圧倒的に低く、孤立状態に気づかれにくいという課題があります。
「“大丈夫だから心配するな”って、父はずっと言っていたんです。でも、たぶん“心配かけたくない”って気持ちが強すぎて、本音を隠していたんだと思います」
「『人の世話にはなりたくない』って、昔からそういう考え方で育った世代なので、本人が“困っている”と認めること自体が難しいんですよね」
知美さんは、実家のある自治体の「地域包括支援センター」に連絡。父の状況を説明すると、担当者は「まずは見守り対象として登録しましょう」と提案してくれました。
その後、配食サービスの紹介や定期的な電話確認、必要に応じた医療・福祉サービスの情報提供などが始まり、忠義さんも少しずつ心を開きはじめたといいます。
「最初は“そんなもん必要ない”って怒っていましたけど、『娘が心配するから』って言ったら、ちょっと考えてくれて。今は週1回、地域の集まりにも行っているそうです」
