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医療・買い物・老後の備え…年を取るほど響く「距離の不便さ」
藤田さんが体調を崩して入院したとき、妻の美恵さん(仮名)は車で片道40分かけて病院に通いました。冬場は道路の凍結で通院も一苦労。お見舞いにも制限がかかる中、「なぜこんな遠くに住んでしまったのか」と自問したといいます。
買い物も不便でした。近所にスーパーは1軒のみ。医薬品や日用品を買うには片道30分以上かかることも。
「便利さが恋しくなったというより、安心感がほしくなったんです。何かあったとき、すぐに頼れる人やサービスがないと不安で」
3年後、藤田さん夫妻は思い切って東京に戻ることに決めました。売却していたマンションは再取得できませんでしたが、都内近郊にコンパクトな賃貸住宅を借りて、再スタートを切りました。
「家賃は高くなりましたが、移動もしやすいし、病院もすぐ近く。昔の友人と会えるのも、思った以上に心の支えになります」
藤田さん夫妻のように、定年後に地方へ移住する人は増えていますが、国土交通省や自治体による調査でも、「移住後にギャップを感じた」という声は少なくありません。
特に多いのは、
●想像以上の気候の厳しさ(寒冷地・豪雪地帯など)
●医療・買い物・交通の不便さ
●地域の人間関係の濃さ・なじみにくさ
●想定よりも生活費がかさむ(暖房費・車関連費など)
といった問題です。
また、地方自治体が用意する「移住支援金」や「お試し移住制度」もありますが、長期的な生活設計や医療・介護の視点が欠けていると、後悔につながる可能性もあります。
「地方移住」は魅力的な選択肢である一方で、「のんびりした暮らしができそう」「物価が安そう」というイメージだけで進めてしまうと、理想と現実のギャップに苦しむことになります。
藤田さん夫妻が語るように、「老後は“安心して暮らせる場所”に住むことが一番大切」なのかもしれません。
移住を検討する際には、「その土地の冬」「車がない場合の生活」「病気になったときの対応」「地域との関係性」など、日常の困りごとを具体的に想像する視点が欠かせません。
夢を持つことは大切です。しかしそれを叶えるには、冷静な現実把握と綿密な準備が、何よりも必要なのです。
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