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遺言書や事前の「すり合わせ」の重要性
また、こうした事態を防ぐうえで最も効果的なのが遺言書の整備です。遺言には、
●自筆証書遺言(手書き)
●公正証書遺言(公証役場で作成)
などの種類がありますが、特に公正証書遺言は法的トラブルに強く、原本が公証役場に保管されるため改ざんや紛失のリスクもありません。
さらに、親が元気なうちに、兄弟姉妹間で財産の分け方や家の扱いについて話し合っておくことも重要です。曖昧なままにしておくと、親亡き後に価値観の違いが噴出し、「話が違う」「勝手に決めた」と争いに発展してしまう可能性が高まります。
「実家」と聞くと、どうしても思い出や感情が先に立ってしまいがちですが、相続においてはあくまで資産として扱われます。
たとえば、不動産は分割が難しいうえに、管理費や固定資産税がかかる「重たい財産」でもあります。特に兄弟間で共有したままにしておくと、売却や処分の際に全員の同意が必要となり、話が進まない事態に陥りがちです。
一方が売りたい、一方が住み続けたいという意見の食い違いが、家族関係の破綻につながるケースもあります。
今回の紀子さんのように、「話し合いがなかった」ことが原因で、兄妹間の信頼関係が崩れてしまうことは少なくありません。
相続はお金の問題であると同時に、感情の問題でもあります。「うちは大丈夫」と思っていても、いざ蓋を開ければ、思いがけない争いに発展する可能性は誰にでもあります。
老後の不安を増やさないためにも、そして大切な家族との関係を守るためにも、制度を正しく知り、「早めの対話」と「書面での備え」が、これからの時代には欠かせないのです。
一通の通知からはじまった相続地獄。実家が知らないうちに他人のものになっていたという現実は、年金暮らしの高齢者にとって大きな打撃です。
これは決して他人事ではありません。
誰もが直面しうる相続トラブル。その多くは、「知らなかった」「話し合っていなかった」「手続きを後回しにしていた」ことで起きています。
今、あなたやあなたの家族ができることは何か。話すこと、記すこと、手続きすること。その一つひとつが、将来の安心につながります。
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