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プロセスマイニングツールで業務プロセスを最適化
最後にプロセスマイニングツールを使用した業務効率化の事例を紹介します。これは、特にバックオフィス業務において効果的な手法です。
プロセスマイニングとは、業務システム上でのログデータを収集し、それらを分析することで業務プロセスを可視化する技術です。例えば、製造業における受注から出荷までの流れを例にとると、受注入力、在庫確認、生産計画、製造、品質検査、出荷準備、配送手配といった各ステップにどれだけの時間を要しているか、どこでボトルネックが発生しているかが明確になります。
このツールは、サーバーに残されたログデータから実際の業務フローを自動的に追跡し、プロセスのどこに時間がかかっているかを明らかにするものです。以前であれば、このような分析は業務コンサルタントが現場で観察やヒアリングをすることにより行っており、多大な時間と労力が必要でした。しかし、プロセスマイニングを用いることで、これらの情報を早く正確に集め、短時間で改善策を提案することが可能になります。
実際にある企業で、特定の業務プロセスに対してプロセスマイニングツールを適用し、どの程度効率化が見込めるかを試みました。
しかし、この検証では、期待したほどの結果が得られず、プロセスマイニングツールによるデータの取得、そして既存システムへの適用に多くの課題があることが分かりました。これは、既存システムの複雑さやデータ収集の難しさが原因でした。業務プロセス改善を行う際には、こうした既存システム側の課題も考慮に入れる必要があります。
このような課題に直面した際、技術的な知識だけでなく、業務プロセスとシステムの両方を理解し、適切なデータ収集方法を設計できる専門家の介入が重要となります。また、ツールの設定や分析結果の正しい解釈には、プロセスマイニングに関する経験と知見が不可欠です。さらに、発見された課題を実際の業務改善につなげるには、技術と業務の橋渡しをする役割も必要となります。
プロセスマイニングを活用した業務効率化は、大きな成果をもたらす可能性があります。しかしその導入と実施には、技術と業務の両面に精通し、複雑な課題を総合的に解決できるITコンサルタントのような専門家の支援が必要となるケースが多くあります。
これらの事例は、ITコンサルタントの仕事が技術導入だけでなく、ビジネス課題の本質的理解と価値創出を目指す総合的なアプローチであることを示しています。成功と失敗の両面から学び、より効果的な解決策を提供していくことが、私たちの使命なのです。
大野聖一
North Star Management株式会社
代表取締役
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