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失敗に終わってしまった大規模基幹システムの刷新
すべてのプロジェクトが必ずしも成功するわけではありません。ここでは、ある製造業大手企業での基幹システム刷新プロジェクトの失敗事例を紹介します。このプロジェクトでは、20年以上前に構築された旧来のシステムを全面的に刷新し、グローバル展開を視野に入れた統一システムの構築を目指していました。
しかし、このプロジェクトは当初の予算を大幅に超過し、最終的には中止せざるを得ない状況に陥りました。失敗の背景には複合的な問題がありました。
まず、プロジェクトの範囲があまりにも広く、設定されたスケジュールも現実的ではありませんでした。また、現行の業務プロセスの分析が不十分であり、特に異なる国や拠点間での業務標準化の難しさを十分に考慮していませんでした。さらに、経営層、事業部門、IT部門などさまざまな関係者間で期待する成果や優先事項の認識に食い違いがあり、プロジェクト途中での要件変更が次々と発生しました。
この失敗から得た最も重要な教訓は、大規模なシステム刷新では一度にすべてを変革しようとするのではなく、段階的に進めることの重要性です。また、技術面の対応だけでなく、組織全体の意識改革や変化への適応(チェンジマネジメント)にも十分な労力と時間を投入すべきでした。今振り返ると、プロジェクト初期段階でのリスク評価をより厳密に行い、問題の兆候がみえた時点で迅速に方針転換をすべきだったと考えます。
成功するITコンサルタントは、失敗から学ぶことも多いため失敗を恐れません。組織全体で課題や失敗事例を共有し、その教訓を次のプロジェクトに活かすことで、各コンサルタントは類似の状況に先手を打てるようになります。
こうした現場から得られた知見は書籍では学べない実践的な知恵となり、プロフェッショナルとしての競争力を高める強力な武器となります。失敗を隠すのではなく、成長の糧として積極的に活用する文化が、組織と個人の両方を成長させる鍵となります。
