米国の関税政策の先行き不透明感から、企業は設備投資を様子見
家計動向関連では、住宅関連(前月差▲4.0ポイント)やサービス関連(同▲2.0ポイント)は低下したものの、飲食関連(同2.7ポイント)や小売関連(同1.5ポイント)は上昇した。コメントをみると、「コロナ禍以降、新築住宅やリノベーションの引き合いが戻ってきたが、建設費の高騰で着工までの時間がこれまで以上に掛かっている(中国・設計事務所)」など、建築費高騰に関するコメントがみられた。
一方、「段々と暑くなり冷たい商材が売れるようになってきている。来客数もやや増えており、店としてはやや良い方向に向かっている(甲信越・コンビニ)」など、6月は全国的に気温が高かったため、夏物商材を買い求める客が増加しているとのコメントがみられた。
企業動向関連では、製造業(前月差1.1ポイント)、非製造業(同2.4ポイント)ともに上昇した。コメントをみると、「米国の関税政策を受けて、先行きの不透明感から投資を抑制する動きがうかがえる(中国・金融業)」など、米国の関税政策の先行き不透明感から企業は設備投資を様子見していることがわかる。
下図は、景気ウォッチャー調査の「景気判断理由集(現状)」のコメントをもとに計量テキスト分析1を行い、共起ネットワーク2を作成したものである。景況感が改善したと判断した回答者のコメントには、大阪、関西万博、受注、客単価といった単語が多く含まれていることが読み取れる。インバウンドという単語は、景況感が改善したと判断した回答者のコメントと景況感が悪化したと判断した回答者のコメントの両方に含まれていた。
2025年6月調査の結果は、景況感は現状、先行きともに改善していることを示すものであった。6月は全国的に気温が高かったため、夏物商材を買い求める客が増加しているとのコメントがみられたが、この動きは7月も継続すると考えられる。
4月13日から開催されている大阪・関西万博については一部にポジティブなコメントがみられたものの、近畿の景気の判断DIは現状が46.2(前月差0.5ポイント)、先行きが44.7(同▲0.1ポイント)と概ね横ばいとなっており、現時点では景況感の押し上げには至っていない。
一方、7月25日にグランドオープンするテーマパーク「ジャングリア沖縄」の影響により、沖縄の景気の先行き判断DIが61.6(同5.8ポイント)と大きく上昇しており今後に注目される。
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1 分析にはKH Coder 3(樋口2020)を使用した。
2 共起ネットワークとは、よく一緒に使われる語同士を、線で結んだネットワークのことである。
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