「柱が腐り、家の中心部に穴」「崩れ落ちるのは時間の問題」
「うちは母親が先に亡くなっているので、父親の相続人は私と弟の2人だけでした。財産は川崎市の築古の自宅と父親の実家、2,000万円ほどの預貯金でした」
敬一さんは世田谷区に配偶者の両親と同居しているため、自宅不動産は不要とのことで、川崎市の自宅は、長年にわたって両親と同居してきた明子さんが相続しました。
「弟は気前よく川崎の家を譲ってくれて、自分は預貯金と地方の父親の実家を相続しました。これで円満解決だと思ったのですが、そうではなく…」
敬一さんは、父亡きあとの10年間、「他人に売ったらおじいちゃんが泣く」とまでいった父親の実家を放置した挙句、廃屋同然にしてしまったのです。
「いとこからは〈柱が腐って傾き、家の中心部に穴が開いている〉〈崩れ落ちるのは時間の問題〉と聞いています…」
明子さんは、いとこから送られた写真を敬一さんに転送。しかし、その返事は斜め上を行くものでした。
「なんかすごいね!」
明子さんは苛立ちを抑えながら、極力冷静に返信をしました。
「そうではなく、片付けないと危ないという話です。対応してください」
「自由にしてもらって構わないからって、ユキちゃん(明子さんきょうだいのいとこ、仮名)伝えておいて!」
返信を見た明子さんは、思わず鋭く舌打ち。足元にいたペットの猫がおびえて逃げていきました。
「あのまま放置したら、近隣に迷惑が掛かってしまう。どうにかして、敬一に片付けさせないと…!」
明子さんは怒涛の勢いで、敬一さんに追いLINEを送り続けました。
