子どもが生まれると、想像以上の支出増に
タワーマンションに住み始め、程なくして妊娠が判明した照美さん。待望の、それも双子の男の子だと分かり、光輝さんも喜びを隠せません。出産と育児に向けて照美さんは産休・育休を取得。その間の住宅ローンの返済は、夫の収入と夫婦の貯蓄で賄っていました。
しかし、いざ仕事復帰の時期が近づくと、思わぬ事態に。年齢が1歳、そして双子ということもあり、認可保育園の競争率が非常に高かったのです。
「保活がこんなに大変だとは思わなかった……」
最終的には認可外保育園を選ばざるを得ませんでした。また、働くことが好きだった照美さんは、育児と仕事の両立を強く願っていました。フルタイムで働くために、保育園で預かってもらえない時間についてはベビーシッターも併用することにしました。
その結果、毎月の子ども関連費用がマンションのローン返済額とほぼ同じ、約30万円もかかってしまうことになったのです。
業績悪化で収入が減少、子どもの病気も…
子どもの関連費用がかさんでいたものの、神田さん夫婦の毎月の手取り収入は120万円。住宅費に毎月40万円、子どもたちの費用に毎月30万円かかっても、残り50万円が残ります。車の維持費や他の生活費などの支出を考えても、まだ余裕はある状態でした。
ところが、状況は想像しなかった方向へ転がっていきます。子どもたちが3歳になった頃、光輝さんが勤めている会社の業績が悪化し、年収が1,000万円まで下がることになってしまったのです。さらに、子どもの1人に心臓疾患が見つかり、照美さんは会社を辞めて子育てや看病に専念しなければならない事態に。
照美さんが会社を辞めることで、保育料やベビーシッター代として毎月30万円払っていた費用は削減できます。しかし、照美さんの収入はゼロになってしまうため、光輝さんの手取月額60万円で毎月40万円の住宅費用を払い続け、残り20万円で生活しなければなりません。
そんな事態になっても、光輝さんは車を手放そうとはしませんでした。そして照美さんも生活レベルを下げようとしなかった、いや、下げたくなかったのです。2人ともせっかく手に入れた「成功者の証」だけは守りたいと考えていたのでしょう。
子どもたちにはブランドものの服を着せ、病院には高級外車で通う日々。育児や看病で疲れるため、食事はデパートや高級スーパーのお惣菜で済ませる……。家計は火の車にもかかわらず、暮らしぶりは贅沢なままでした。
