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贈与のはずが追徴税に…80代女性を襲った悲劇
75歳の佐藤勝さん(仮名)と70歳の妻・洋子さん(仮名)は、念願の初孫が生まれた際、その孫の将来のために「毎年110万円を贈与する」と決めました。
というのも、夫の勝さんが、友人に「贈与税の非課税枠(年110万円)内で贈与すれば税金がかからない」と教えてもらったからです。
孫が10歳になるまで、10年間で1,100万円を贈与する計画を立てた佐藤さん夫婦。しかし、6年目を迎えたばかりのある日、夫が帰らぬ人となってしまいます。
夫が亡くなったことで、年金月8万円と貯金約1,000万円で暮らすこととなった妻の洋子さん。自身の将来を考えて、孫への贈与を終了しました。
税務署からかかってきた1本の電話
夫が亡くなってから2年ほど経ったある日、税務署から「相続税調査に伺いたい」との連絡が入ります。調査で問題になったのは、孫への110万円の送金でした。
調査当日、税務署に贈与契約書を提出した洋子さん。自信満々だったものの、調査官から衝撃の指摘が。
調査官「申し上げにくいのですが……この契約書では定期贈与に該当するため、非課税になりません」
調査官から告げられたまさかの事実に、言葉にならない悲鳴をあげた洋子さん。必死の抵抗も虚しく、5年間で贈与した660万円に対し、贈与税と加算税で約100万円の追徴税が課せられてしまったのでした。
定期贈与に潜む落とし穴
問題の原因は「定期贈与」です。洋子さんが自信満々に提出した贈与契約書には、「1,100万円を10年間で毎年110万円ずつ贈与する」と記載していました。
税務署はこれを「計画的な贈与」とみなし、総額1,100万円に対する贈与税を計算する「定期贈与」と判断したのです。
定期贈与とは、複数年にわたって決まった金額を計画的に贈与する場合で、初年度に全額の贈与税がかかる仕組みのことをいいます。
佐藤さんの場合、毎年110万円を同じ時期に送金し、孫が貯金として管理していたため、税務署は「独立した贈与ではない」と判断。非課税枠を適用するには、毎年独立した贈与契約を結び、時期や金額をずらす必要がありました。
