ふるさと納税なんてやらなきゃよかった…東京23区在住50歳会社員の後悔。自治体から届いた「決定通知書」、例年より月額5,000円高い「住民税」が課せられたワケ【税理士が解説】

ふるさと納税なんてやらなきゃよかった…東京23区在住50歳会社員の後悔。自治体から届いた「決定通知書」、例年より月額5,000円高い「住民税」が課せられたワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすることで、魅力的な返礼品が受け取れる人気の制度。特に会社員にとっては、ふるさと納税後の確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」は非常に便利な仕組みといえるでしょう。しかし、その手軽さゆえに見落としがちなルールも存在し、予期せぬ税負担が発生する可能性があります。本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、ふるさと納税の注意点について、木戸真智子税理士が解説します。※プライバシーのため、実際の事例内容を一部改変しています。

予期せぬ「確定申告」

同僚から得た情報は「確定申告で医療費控除を申請すれば、税金が還付される」というものでした。

 

これまで「難しそう」と思い、遠ざけていた確定申告ですが、Aさんはこれを機に挑戦してみることに。同僚に勧められたe-Taxなら自宅で簡単に手続きができると知り、早速準備に取りかかります。

 

e-Taxは思っていたよりも簡単に終わり、体調も回復したことだし、今年はどんなふるさと納税をしようかと妻と話していました。今回の入院は、ふるさと納税だけではなく、妻と一緒にジム通いもすることになり、さらに健康を気遣った生活を心がけていこうと改めて思うきっかけとなりました。

住民税通知書に愕然…ワンストップ特例の落とし穴

そして翌年の5月。会社から住民税の決定通知書を受け取ったAさんは、記載された金額に違和感を覚えます。

 

ふるさと納税は上限まで行い、さらに今回は医療費控除の確定申告も済ませています。そのため、Aさんの中では「例年よりも住民税は安くなるはずだ」というイメージでした。しかし、その予想は裏切られ、通知された住民税額は明らかに例年よりも高かったのです。昨年の通知書と見比べると、月額で5,000円は高くなっている計算でした。

 

これはなにか間違っているのではないかと会社の同僚にも相談してみたところ、想像もしていなかったことが発覚。Aさんは医療費控除のため確定申告をした際に、ワンストップ特例申請が無効になることを知らず、寄付金控除の再申告を忘れてしまっていたのです。

 

確かに、同僚にはふるさと納税の話をせず、ワンストップ特例をしていることも話していませんでした。医療費控除は確定申告でできるということだけを教えてもらったため、再申告のことは頭になかったのです。

 

便利なはずの制度が招いた思わぬ税金負担に、「やらなきゃよかった」と深い後悔が残る結果に。せっかく今年もふるさと納税を楽しんでいこうと思っていたところに、Aさん夫妻はどんよりとした気持ちになってしまいました。

 

Aさんが昨年おこなったふるさと納税は約50万円。これが全額控除されないとなると、大損害です。「約35万円の医療費のために申請した確定申告が、こんな事態を引き起こすとは……」と嘆かずにはいられませんでした。

 

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