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夕暮れ時、「カクテルタイム」での“衝撃ルール”
もうひとつの贅沢が「サンダウナー」である。
アフリカでは、日暮れの時刻にあわせて一杯嗜むことをこう呼ぶ。眺めの良さと安全を見計らって、レンジャーがとっておきの夕陽スポットに車を停める。
ランドローバーの車両後部がバーカウンターになり、ワインやスピリッツ、おつまみが並べられる。レンジャーがバーテンダーになり、ちょっとしたカクテルも作ってくれる。
ブッシュの真ん中で、大地に沈むアフリカの夕陽を見ながらのカクテルタイム。自由に車の外に出られる私営動物保護区ならではの体験である。
だが、一杯飲んでトイレに行きたくなっても、ブッシュにトイレはない。車にトイレがあるはずもなく、茂みに入って用を足す、通称「ブッシュトイレ」となる。
レンジャーに言うと、野生動物がいないことを見計らって、男女で方角を分けて、しかるべき茂みを指示してくれる。ラグジュアリーロッジであろうと、昔ながらのブッシュのルールなのだ。それに異を唱えるゲストもいない。
富士山のように観光客が多くなれば問題なのだろうが、広大な私営動物保護区では、人間の営みも野生動物と同じで自然に還るということなのだろう。シンギータの体験は、まさに衝撃的だった。
「ラグジュアリー」と「アドベンチャー」は両立する
海外旅行やホテルの業界誌からキャリアをスタートさせた私は、世界のラグジュアリーホテルを取材する機会が多かったが、その一方で、アフリカもこの時、すでに3回目であり、90年代半ば頃から、ご縁があってパプアニューギニアに足繁く通うなど、ブッシュトイレしかないような環境にも慣れていた。
しかし、それは私個人がたまたま多様なタイプの旅を経験しているということで、一般論として、アドベンチャーな体験とラグジュアリーな世界は相容れないと思い込んでいた。
シンギータは、それを見事に覆してくれたのである。その後10年余り、私はとりつかれたようにアフリカのラグジュアリーサファリロッジの取材を重ねた。
独特の世界観に魅せられたこともあったが、野生動物が相手の体験は毎回が刺激的で、新鮮だったからだ。これほどお金を払うに値するラグジュアリーのかたちはないと直感したのも理由だった。
アジアンリゾートブームを背景に雑誌媒体などが、その次の目的地を探していたことも取材が成立した追い風となった。

