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平均的な老後世帯のリアルと退職金の誤解
ファイナンシャルプランナーとして多くのご相談を受けるなかで、60代夫婦にとって「退職金」の扱いは非常に重要です。
総務省の家計調査(2023年)によれば、無職世帯の高齢夫婦の平均支出は約26万円。一方、年金などの収入は平均22万円前後。つまり、多くの世帯が「毎月4万円程度の取り崩し」が前提です。この「取り崩し」に使われるのが退職金であり、決して「自由に使えるボーナス」ではありません。
仮に60歳で退職し、90歳まで生きるとすれば、30年間で取り崩すべき金額は4万円×12ヵ月×30年=1,440万円。退職金2,000万円からこれを差し引けば、自由に使えるお金は500万円程度です。
さらに、医療・介護費用の予備資金や、住宅の修繕、子や孫への支援を考慮すると、実際には「起業に800万円」などという余裕はありません。
起業が絶対に悪いとはいいません。しかし、セカンドライフにおいては、計画性と配偶者の理解がなによりも重要なのです。
老後のお金は夫婦の「共通資産」
話し合いは一週間にもおよびました。最終的に、一夫さんは「事業計画が現実的でないこと」「佳代さんにきちんと相談しなかったこと」を反省し、起業は白紙に戻すことに。
「私たちのお金は、あなたのお小遣いじゃないの。老後はふたりの“共同プロジェクト”なのよ」
佳代さんのその言葉が、胸に刺さったといいます。
老後の生活費は、すでに「貯蓄を切り崩しながら生きる時代」に入っています。特に、インフレや医療費の上昇、家の老朽化など予測不能な支出が重なることも多いのが現実です。
だからこそ、老後の資金は「安全運転」で使っていくことが基本であり、短期間でリターンを求めるような使い方には慎重になるべきです。
夢を追う前に「家計の棚卸し」と「夫婦の対話」を
老後に夢を持つのは素晴らしいことです。しかし、ファイナンシャルプランナーとして強くお伝えしたいのは、次の3つの準備です。
1.家計の見える化
年金額、貯蓄額、退職金の残額、今後の支出予測を一覧化して、「なにに、いくら使えるのか」を明確にしましょう。
2.生活防衛資金の確保
少なくとも生活費の2年分、約600万円は手をつけずに確保しておくと安心です。
3.夫婦間の定期的な話し合い
月1回でもいいので、「今後のお金の使い方」について話し合う場を持ちましょう。老後資金は“家族の共有資産”です。
老後破綻は、無理な支出よりも「すれ違い」から始まります。夢を見ることを否定する必要はありません。ただ、歩幅を揃えることが、重大なリスク回避の手段なのです。
波多 勇気
波多FP事務所
代表ファイナンシャルプランナー
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