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老後に起業する前に
定年後の起業は、生きがいを得て収入も得ることができ、人生をより豊かにすることができる選択肢です。一方で、計画的に準備をして始めなければ長谷川さんのように老後資金を食い潰してしまう可能性もあります。
まず、長谷川さんは出資する前に、これからの生活に絶対必要な資金を見える化しておく必要がありました。そのうえで余剰分だけを事業資金として使うことで今回のようなリスクは回避できたでしょう。
また、 自己資金だけでなく、借入も活用すべきでした。「借金は怖い」と考え、すべてを自己資金で賄おうとする人も少なくありません。しかし、計画的な借入を利用することは、万一の撤退時にも自己資産を守ることにつながります。
加えて、初期投資が大きい飲食店をいきなりオープンしたこと。選択肢として、空き店舗や自宅の一部を改装したり、キッチンカーから始めたりするなど、初期投資を抑えて始める手段もあったのです。
ライフプランと老後の資金計画、そして事業の資金計画をしっかり立て、かつ理想にできるだけ近い形で実現できるような事前のリサーチが足りていませんでした。できる限りローリスクで始めることができるよう、創意工夫と知識・情報の収集が非常に重要です。
「友人と始める起業」の恐ろしさ
中小企業庁の「2022年版 中小企業白書」によれば、60代以上の開業率はここ10年で増加傾向にあります。長谷川さんのように、退職金などのまとまった資金を元手に開業するケースが目立っています。一方で、起業後3年以内の廃業率は約50%にのぼる点も見逃せません。
もし長谷川さんが、退職金の一部を生活資金としてしっかり確保し、第三者の専門家とともに事業計画を立てていれば、たとえ事業が失敗しても、老後生活にこれまでの深刻な打撃はなかったかもしれません。
また、「友人と始める起業」は、友情とビジネスの境界が曖昧になり、トラブルに発展しやすいのも事実です。役割分担、報酬、責任等を明確にしてから始めるべきだったことは明白でしょう。結果、長谷川さんはお金も長年の友人も一度に失ってしまいました。
本当に大事なことは「開業すること」ではなく、自分たちが提供するラーメンで多くの人に喜んでもらうことの満足感と、自分たちが望む生活を送るための収入を確保できることでしょう。夢の実現のためには計画が重要、人生のお金も事業のお金も計画的に考えて、最大限やりたいことを実現していってください。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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