物価上昇判断DIの推移…25年7月の動向と長期的な傾向
物価上昇判断DIは、調査開始から22年1月までは60台・70台で安定推移していました。しかし、ロシアがウクライナ侵攻した月の22年2月調査以降、物価上昇判断DIは80台・90台に。物価が上昇するという見方が強い状況が継続しています。
22年10月に90.4をつけたあと80台後半の高水準での推移が続き、23年は6月に90.7をつけました。そこから振幅をともないつつ24年9月の80.3まで一旦低下しましたが、反転上昇傾向になり、25年2月に90.2と20ヵ月ぶりの90台を記録しました。
25年3月以降7月までは80台で推移しています。4月87.9から、5月87.0、6月85.8と2ヵ月連続低下しましたが、7月は87.4へと3ヵ月ぶりに上昇しました。
回答の内訳比率をみると、25年7月は「上昇する」が59.6%まで上昇したものの、6月の51.8%に続き2ヵ月連続の50%台になりました。「上昇する」の割合が7.8ポイント増え、「やや上昇する」が同じ7.8ポイント減少したことが6月から7月にかけて物価上昇判断DIが上昇した背景です。
低水準ながら改善傾向…暮らし向き判断DIが示す消費者意識の変化
暮らし向き判断DIは、24年10月から25年7月までの10ヵ月間は、逆相関の動きをする物価上昇判断DIが84以上の高水準であったことから、低水準の20台・30台で推移しています。
しかし、詳細にみると良い方向への変化がみられます。25年5月は28.0で低水準ですが、25.4だった4月から2.6ポイント、3ヵ月ぶりの上昇になりました。6月は30.4と5月から2.4ポイント高まり、7月は33.6と6月から3.2ポイント上昇しました。3ヵ月連続の上昇で、25年2月の35.8以来の水準です。7月の「良くなる」の割合は2.0%で2月の5.4%以来の水準になりました。
物価見通しの横ばいと暮らし向き判断の改善傾向…DI相関の分析
内閣府「消費者マインドアンケート調査」の暮らし向き判断DIと物価上昇判断DIの相関係数は、16年9月から21年8月までの最初の5年間は0.01と無相関でした。しかし、21年9月から25年7月までの最近の3年11ヵ間では▲0.679のマイナスで逆相関になっています。
24年10月から25年7月までの10ヵ月間は、物価上昇判断DIが84以上の高水準に上昇で、暮らし向き判断DIは、20台・30台の低水準である状況には変わりはなく物価見通し判断が暮らし向き判断の足枷になる状況が継続していました。一方足元では若干の変化がみられます。物価見通し判断は依然高めなものの横這い傾向で、暮らし向き判断が最悪期からみると改善傾向にあります。
野菜・果実の卸値動向…6月下旬、7月上旬に前年比プラスへ転じる
年初では野菜高騰が物価高の主因のひとつでしたが、4月上旬になると青果物卸売市場の野菜・卸値の前年比はマイナスに転じ、状況は変化しました。主要青果物卸売市場の卸値の前年比は、5月下旬、6月上旬は野菜、果実ともにマイナスに。野菜・果実の価格は人々のインフレ懸念を沈静化させる材料になりました。
しかしその後、猛暑の影響が出て、野菜・卸値は6月中旬から直近7月上旬まで前年比プラスに、果実・卸値は6月下旬、直近7月上旬が前年比プラスになっています。7月の物価上昇判断DIが3ヵ月ぶりに上昇した要因のひとつだと思われます。
コメ5kgスーパー平均価格:8週連続低下も、前年比は高水準維持
注目されているのはコメの価格動向です。農林水産省は7月22日に、全国のスーパーで7月7日~13日に販売されたコメ5kgの全POSデータ平均での販売価格が前週比▲13円安くなり、3,589円になったと発表しました。
8週連続低下で、3,500円台となったのは2025年1月6日~12日の週以来、26週ぶりです。コメの値段が前年比ほぼ倍になっていたところからはだいぶ落ち着いてきましたが、前年同期比をみると+51.4%と依然高水準です。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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