息子の「一緒に暮らそう」に救われた84歳女性。〈年金月9万円・貯蓄50万円〉の不安な暮らしから抜け出すはずが…3ヵ月後、息子の口から出た“想定外の一言”

息子の「一緒に暮らそう」に救われた84歳女性。〈年金月9万円・貯蓄50万円〉の不安な暮らしから抜け出すはずが…3ヵ月後、息子の口から出た“想定外の一言”
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期に一人暮らしを続ける中で、生活や体調への不安から、家族との同居を考えるようになる人もいます。生活費や見守りの負担が軽減される一方で、同居は新たな家計や役割の調整を伴います。親子であっても、暮らしを一つにすることで見えにくかった負担が表面化することがあり、事前のすり合わせの有無が、その後の生活に影響を与えることがあります。

「一緒に暮らそう」息子の言葉に救われた母

和枝さん(仮名・84歳)は、夫を亡くしてから一人暮らしを続けていました。収入は年金月9万円ほど。貯蓄は50万円程度しかなく、家賃や光熱費、食費を払うと、毎月の生活はぎりぎりでした。

 

「贅沢なんてしていませんでした。電気代を気にして、暖房もなるべく我慢していました」

 

食事も簡単なものが中心でした。朝は食パン、昼は抜くこともあり、夜は安い惣菜を少し。体調に不安があっても、通院費を考えると受診を先延ばしにすることもあったといいます。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、高齢単身無職世帯の可処分所得は月約11.8万円、消費支出は月約14.8万円です。和枝さんの年金月9万円はこの水準を下回り、一人で暮らし続けるにはかなり厳しい状況でした。

 

そんな母を見かねたのが、長男の誠さん(仮名・56歳)でした。誠さんは妻と2人暮らしで、子どもはすでに独立していました。

 

ある日、実家を訪れた誠さんは、冷蔵庫の中を見て言葉を失ったといいます。卵と豆腐、飲みかけの牛乳。棚にはインスタント食品が数袋だけでした。

 

「母さん、このままじゃだめだよ」

 

そう言われても、和枝さんは最初、笑ってごまかしました。

 

「大丈夫よ。年寄りはそんなに食べなくても平気だから」

 

しかし、誠さんは引きませんでした。

 

「一緒に暮らそう。うちに来れば、少なくとも食べるものや光熱費の心配は減るから」

 

その言葉に、和枝さんは胸が熱くなったといいます。

 

「正直、救われた気がしました。もう一人でお金の心配をしなくていいんだと思って」

 

こうして和枝さんは、住み慣れた部屋を引き払い、息子夫婦の家で暮らし始めました。

 

最初の1ヵ月は、穏やかでした。朝食を一緒に食べ、日中はテレビを見たり、近所を散歩したりする。食卓には温かい食事が並び、夜も寒さを我慢せずに眠れるようになりました。

 

「こんなに安心して寝られるのは久しぶりでした」

 

しかし、暮らしが落ち着くにつれて、少しずつ別の問題が見えてきました。

 

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