(※画像はイメージです/PIXTA)

日本が世界の産業のトップを争っていたのはいまや過去の話になりました。なぜ日本の生産性は世界と比べてここまで低いのでしょうか。本記事では、東京大学名誉教授・井堀利宏氏の著書『知らなかったでは済まされない経済の話』(高橋書店)より一部を抜粋・編集し、日本の生産性の実態と改善に向けて必要なことをご紹介します。

生産性を上げるためには「働き方改革」

佐藤:生産性を上げるにはいろんな面で改革が必要ですよね。働き方改革も関係あるんでしょうか?

 

井堀:うん。生産性向上には高度な人的資本が不可欠だからね。それが働き方改革とも直結している。

 

佐藤:なるほど。労働者の教育投資も関わってくるんですね。

 

井堀:そう。ただ、雇用や教育投資は本来、厚生労働省や文部科学省の担当領域なんだよ。経産省は産業政策や構造改革がメインで、直接人材育成を扱う立場ではないんだけど、日本経済全体を考えると働き方改革は非常に重要だから、ここでも触れておくわけだね。

 

佐藤:人的資本についてなんですが、資本って言うと工場とか機械を想像するんですが、これはどう違うんでしょう?

 

井堀:うん。物的資本は工場や機械設備などの物を指すけど、人的資本は労働者の持つスキルや知識を指すんだ。両方とも経済成長のエンジンになる。高度成長期の日本は設備投資が活発だったけど、その裏には勤勉で基礎的な教育を受けた労働者がたくさんいたのも大きな要因だったんだよ。

 

佐藤:なるほど。明治の初期にも、初等教育が普及していたから文明開化がスムーズに進んだって話を聞いたことがあります。つまり、読み書きそろばん、が大事ってことですね。

 

井堀:そう。特に途上国の中で経済が伸びる国って、たいてい初等教育がしっかりしている。で、さらに現代社会が高度化・IT化すると、高度な専門知識を持つ人材が必要になる。それが人的資本と呼ばれる。

 

佐藤:じゃあ、大学や大学院で学ぶとか、企業内で研修を受けるとか、そういう経験や教育によって人的資本が高まるんですね。

 

井堀:そうだね。大学院や専門学校で身につけた知識や、企業内で積んだ実務経験によって人材の価値が上がる。最近ではどの企業でも通用する専門技能が重要視される傾向があるよね。転職しても役立つスキルを持つ労働者は、まさに人的資本が高いってことだ。

 

 

井堀利宏

東京大学名誉教授

 

本連載は、井堀利宏氏の著書『知らなかったでは済まされない経済の話』(高橋書店)より一部を抜粋・編集したものです。

知らなかったでは済まされない経済の話

知らなかったでは済まされない経済の話

井堀 利宏

高橋書店

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