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終わった…エリート部長の突然の転落劇
「定年まであと6年。いよいよ俺の天下だと思っていたんです」
そう悔しそうに語るのは、大手メガバンクに勤めていた大森一樹さん(仮名/54歳)。営業部門の統括部長を務め、誰もが「常務は間違いない」とみていた出世頭でした。
しかし、社内の人事異動で情勢が一変します。同期入行のライバルが役員に昇格。彼の一存で、大森さんは子会社への転籍を打診されます。「あと数年で定年。なぜいまこのタイミングで」と動揺しましたが、拒否すれば将来的な退職勧奨すらありえる――サラリーマン人生、最終盤での決断を迫られました。
「いま考えれば、あの時点で“もう終わっていた”のかもしれません」
受け入れた役職定年後の転籍先で、大森さんの肩書は「上席専門職」。部下なし、裁量なし、仕事はマニュアル業務中心。そして、給与は…。
給与明細をみて愕然「月収92万円→38万円」に激減
役職定年とは、多くの大企業が導入している人事制度で、一定の年齢(たとえば53~55歳)に達した社員は、部長や課長といった役職から外れ、専門職として再配置される仕組みです。年収は大幅に減少し、業務内容も限定的になるのが一般的です。
「59歳まで月92万円ほどあった給与が、54歳の役職定年とともに一気に38万円になったんです。ボーナスも、以前は年300万円以上もらっていたのに、いまは寸志程度。年収でいえば半減どころか、3分の1になりました」
給与が減っても支出は変わりません。都内の自宅ローンはまだ残っており、来年から私立大学に通う18歳の娘には年間150万円近い学費がかかります。老後の資金形成どころか、貯蓄を切り崩しての生活が始まりました。
「家庭内での“権威”も一緒に下がった感じがします。娘からは“お父さん、最近ヒマそうだね”っていわれてしまって……。正直、やってられないなと何度も思いました」
