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「夢のリゾートライフ」のはずが…
「これが15万円で買えるなんて、信じられないよ」
そう語ったのは、68歳の元会社員・高瀬一雄さん(仮名)。定年後のセカンドライフを楽しむため、貯蓄280万円の中から“わずか15万円”で新潟県湯沢町のリゾートマンションを購入し、都内から移住しました。
会社員時代の年収は、約500万円。年金額は月に12万円程度です。地道に働き、子ども2人を育て上げ、ようやく自分のために時間を使える老後が始まったはずでした。
「都心のワンルームなんて何千万円もするでしょう? それに比べて湯沢のリゾートマンションは激安でした。15万円で住まいが買えるんですよ?」
友人に勧められ、現地を訪れたその日に購入を決断。山々に囲まれた景色に心が躍り、「これぞ第二の人生の始まりだ」と確信したはずでした。しかしその半年後、高瀬さんはこの決断を疑うようになります。
「格安物件」の落とし穴
「冬の暖房代が、月に3万円以上かかるなんて聞いてなかった……」
購入後すぐに直面したのが、想像以上のランニングコストでした。築30年以上の建物は断熱性も弱く、冬場の光熱費が高騰。特に驚いたのは、なにもしなくてもかかり続ける固定費です。管理費と修繕積立金は毎月合わせて2万5,000円、1年間で30万円。これに固定資産税が年1万5,000円程度上乗せされます。
わずか1年で、高瀬さんの手元には重い支出の記録が残りました。
「冬場はほとんど家にこもっていたのに、年間の維持費だけで30万円を超えてしまった。暖房を本格的につかったら40万円以上でしょう。購入価格は安くても、これでは“持ってるだけで毎年大赤字”ですよ」
しかも、マンションはほとんど空室。人の気配はなく、エレベーターは古び、廊下の電灯は一部切れたまま。共用部の管理は十分とはいえず、夜は薄暗くて不安になるほどです。
「ご近所付き合いもなくて、逆に寂しくなってね。妻以外、誰とも話さない日もざらでした。“買うんじゃなかった”と、日に日に後悔が募っていったんです」
加えて、マンションの老朽化にともなう将来的な修繕費負担も不安材料です。総戸数の多くが空室のため、現実には「居住者だけで費用を負担」しなければならず、管理組合の運営も機能不全に陥りつつあります。
